2019-12

2018・5・18(金)ラザレフ指揮 日本フィル第700回東京定期演奏会

      サントリーホール  7時

 桂冠指揮者兼芸術顧問のアレクサンドル・ラザレフが指揮した「日本フィルハーモニー交響楽団第700回特別記念東京定期演奏会」は、プロコフィエフの「交響的協奏曲ホ短調」と、ストラヴィンスキーの「ペルセフォーヌ」(日本初演)という意欲的なプログラム。
 前者でのチェロのソロが辻本玲、コンサートマスターが扇谷泰朋。
 後者での協演は、ポール・グローヴス(T)、ドルオニク綾乃(ペルセフォーヌ)、晋友会合唱団、東京少年少女合唱隊。こちらのコンサートマスターは木野雅之が務めた。

 協奏曲では、日本フィルのソロ・チェロである辻本玲が豊麗な演奏を聴かせてくれた。それは、ロストロポーヴィチやゲリンガスのような豪快なスタイルとは異なり、むしろ叙情的な曲想において魅力を発揮するというタイプの演奏といえたかもしれない。しかし、第2楽章あたりからは演奏がみるみる緊迫度を増して行き、確実な技術に支えられたソロは長大なカデンツァにおいて劇的な凄味さえ感じさせたのである。
 この曲のあと、ソロ・アンコールとしてカザルス編の「鳥の歌」が弾かれたが、圧倒的な交響的協奏曲の演奏の余韻を聴衆に印象づけたまま出番を終っていた方が効果的だったのではないか?

 「ペルセフォーヌ」は、ギリシャ神話のペルセポネー(父は大神ゼウス、母はデメテル)をヒロインとした物語。ストラヴィンスキーが、その新古典主義作風の時代━━1934年に初演した、演奏時間50分ほどに及ぶ大作だ。
 大規模な管弦楽編成でありながら響きは簡素で、清澄透明な音色がこの上なく美しい。魅力的な作品であり、ストラヴィンスキーのこの時期における練達の作曲技法が、存分に堪能できる。

 ラザレフの、端整な構築の裡にも官能的な雰囲気と、時には濃厚な色合いをも垣間見せる指揮は、ストラヴィンスキーがやはりロシアにルーツを置く作曲家であることを思い出させるかのようだ。また、日本フィルの爽やかな演奏、二つの合唱団の好演も特筆される。ポール・グローヴスも、こういう近代作品を歌わせると相変わらず巧い味を出してくれる人である。

 ただ一つ、どうしようもなく残念だったのは、ペルセフォーヌ役のドルニオク綾乃のナレーションであった━━と言っても、これは彼女の責任ではない。問題は、彼女の声に使われたPAである。舞台上のスピーカーでなく、場内PAでも使ったのか? 音はどこからともなくワーンと響いて来て、ぼやけて明晰さを欠き、聞き苦しいこと夥しい。あたら清澄な美しさで進んでいる演奏を、このPAはその都度ぶち壊した。彼女の愛らしいナレーションもこれでは台無しだったし、折角の見事な演奏に、大きな瑕疵を付ける結果ともなってしまった。

 それはともかく、この曲、今回が日本初演とは、少々意外であった。だが、経営が楽ではない自主運営オーケストラがよくこれだけの企画を実施したものである。その意欲的な姿勢は高く評価されよう。

コメント

ドルニオク綾乃

この人全く知らなかったが、可愛い。綾瀬はるかみたい。
4日連続してコンサート通いは、生まれて初めて。これは「仕事」ですね。東条先生の大変さがわかります。

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