2018-05

2018・5・7(月)METライブビューイング「コジ・ファン・トゥッテ」

      東劇  6時30分

 フェリム・マクダーモット新演出による、コニーアイランドを舞台に設定した「コジ・ファン・トゥッテ」だというので、期待していた。

 実にカラフルな舞台で、遊園地の景観満載、蛇使いから火呑み師まで登場する。
 それがこのオペラの本質とどんな関係があるのだ、とうるさい人たちは言うかもしれないが、それを言っちゃ、ミもフタもなかろう。見慣れたオペラを新しい趣向で観るのも悪くないではないか。
 設定がよく出来ていて、かつ面白ければ、初めてオペラを観に来た人を引き付けることができる。オペラに詳しいと自信のある人なら、その演技と演奏の中から、ドラマと音楽の真髄を自分で自由に読み取ることができるはずである。

 今回の出演は、デイヴィッド・ロバートソン(指揮)、アマンダ・マジェフスキ(フィオルディリージ)、セレーナ・マルフィ(ドラベッラ)、ベン・ブリス(フェランド)、アダム・プラヘトカ(グリエルモ)、ケリー・オハラ(デスピーナ)、クリストファー・マルトマン(ドン・アルフォンゾ)。
 この顔ぶれを見ると、かなり世代も入れ替わり始めたなという感がある。

 ミュージカルで活躍するケリー・オハラを軽快な役柄デスピーナに起用しているのが注目されるが、ブロードウェイの「良い」歌手たちが、演技はもちろん、歌もそこらのオペラ歌手よりは遥かに上手いというのは現地でミュージカルを観た人なら周知の通り。見事なものであった(但し、雰囲気が少し違うのは仕方がない)。

 コニ―アイランドの光景が、この複雑な心理の変化を描く恋愛劇にどのような影響を及ぼしているかという面では、しかし残念ながらこれは単なる発想に留まり、具体的には描き切れていないようである。
 その点では、先年制作された、ラスヴェガスを舞台に設定したマイケル・メイヤー演出「リゴレット」(2013年2月16日参照)の方がよく出来ていたのではないかと思う。こちら「コジ」の方はさしあたり、本来が荒唐無稽で現実にはあり得ないような恋愛劇ゆえに、遊園地の玩具のように論理的ならざる夢のようなイメージを背景にした設定もまた一法である、と解釈しておけばよかろう。

 しかし、ロバートソンの指揮をはじめ、METのオーケストラの演奏も実にしっかりしており、モーツァルトの音楽の素晴らしさを存分に再現してくれる。このオペラ、今では彼の「4大オペラ」の中では、私にとっては最も魅力的な存在である。

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