2018-12

2018・5・7(月)METライブビューイング「コジ・ファン・トゥッテ」

      東劇  6時30分

 フェリム・マクダーモット新演出による、コニーアイランドを舞台に設定した「コジ・ファン・トゥッテ」だというので、期待していた。

 実にカラフルな舞台で、遊園地の景観満載、蛇使いから火呑み師まで登場する。
 それがこのオペラの本質とどんな関係があるのだ、とうるさい人たちは言うかもしれないが、それを言っちゃ、ミもフタもなかろう。見慣れたオペラを新しい趣向で観るのも悪くないではないか。
 設定がよく出来ていて、かつ面白ければ、初めてオペラを観に来た人を引き付けることができる。オペラに詳しいと自信のある人なら、その演技と演奏の中から、ドラマと音楽の真髄を自分で自由に読み取ることができるはずである。

 今回の出演は、デイヴィッド・ロバートソン(指揮)、アマンダ・マジェフスキ(フィオルディリージ)、セレーナ・マルフィ(ドラベッラ)、ベン・ブリス(フェランド)、アダム・プラヘトカ(グリエルモ)、ケリー・オハラ(デスピーナ)、クリストファー・マルトマン(ドン・アルフォンゾ)。
 この顔ぶれを見ると、かなり世代も入れ替わり始めたなという感がある。

 ミュージカルで活躍するケリー・オハラを軽快な役柄デスピーナに起用しているのが注目されるが、ブロードウェイの「良い」歌手たちが、演技はもちろん、歌もそこらのオペラ歌手よりは遥かに上手いというのは現地でミュージカルを観た人なら周知の通り。見事なものであった(但し、雰囲気が少し違うのは仕方がない)。

 コニ―アイランドの光景が、この複雑な心理の変化を描く恋愛劇にどのような影響を及ぼしているかという面では、しかし残念ながらこれは単なる発想に留まり、具体的には描き切れていないようである。
 その点では、先年制作された、ラスヴェガスを舞台に設定したマイケル・メイヤー演出「リゴレット」(2013年2月16日参照)の方がよく出来ていたのではないかと思う。こちら「コジ」の方はさしあたり、本来が荒唐無稽で現実にはあり得ないような恋愛劇ゆえに、遊園地の玩具のように論理的ならざる夢のようなイメージを背景にした設定もまた一法である、と解釈しておけばよかろう。

 しかし、ロバートソンの指揮をはじめ、METのオーケストラの演奏も実にしっかりしており、モーツァルトの音楽の素晴らしさを存分に再現してくれる。このオペラ、今では彼の「4大オペラ」の中では、私にとっては最も魅力的な存在である。

コメント

セレーナ・マルフィ クリストファー・モルトマン

セレーナ・マルフィ  マルク・ミンコフスキ指揮オーケストラアンサンブル金沢の”セビリアの理髪師”のロジーナでした。デイヴィット・ポルティロのアルマヴィーヴァ伯爵(今度7月末には、ミュンヘンにも進出してくる。アイヴォ―・ボルトン指揮。ローレンス・ブラウンリー以上にはなれると信じている。ロバート・ガンビルのように声質が変わらなけばいいけど)
セレーナ・マルフィ。今が旬のドラベッラ役。アマンダ・マジェフスキのフィオルデリージと上手くかみ合っている。
彼女の公式ホームページを見ると、どんどん出世していくアーカイヴ。ただ、役柄を大きく絞っている。まだ、”皇帝ティートの慈悲”の役柄は残していることを期待しています。いつでも守備範囲として残してもらいたいです。日本でも人気を博していたエレナ・ヅィトコヴァのように、新春の新国で一曲ケルビーノのアリアを歌っていたときの本当に美しい声が残っていてほしい。(彼女は、”アドリアーナルクヴルールのブイヨン公爵夫人/エボリ公女/オルトルートへ変身してしまった)。
セレーナ・マルフィには、1993年ボローニャ歌劇場日本公演の”チェネレントラ”を歌ったグローリア・スカルキのように短期でエボリ公女で潰れて、2000年以降音沙汰がないようになって欲しくない。

クリストファー・モルトマン。
こういうドン・アルフォンソ役がいつでも歌えるように、声を重くしてほしくない。
2013年11月に、ミュン=フンチュン指揮の”トリスタンとイゾルデ”のクルヴェナール役を3か所で日本で歌って行って。
その後、マルク・アルブレヒト指揮/De Nationale Operade、”ヴォツェック”を初役で歌っていました(NHK-FMでだいぶ遅れて放送しましたが)。あの新鮮さは維持してほしい。マリーは、この劇場には絶対欠かせないエヴァ・マリア=ウエストブロック Eva-Maria Westbroek。おまけにご主人Frank van Akenも出演できて(ファビオ・ルイジがバイロイト・デビューを突発キャンセルした年度の”タンホイザー”の題名役)。
あの劇場は、エヴァ・マリア=ウエストブロック Eva-Maria Westbroekが看板中の看板歌手だから、埋もれてほしくない。

クリストファー・モルトマン。次シーズンは、METでお馴染みのバートレット・シャーBartlett Sher演出/アンドレス・オロスコ=エストラーダの本格的オペラ指揮者進出の”リゴレット”新演出を歌う。あらかじめ、ウィーンで同役でロール・デビューを果たしてから。
ただ、いつでもモーツァルトに戻れるようにしておいてほしい。”魔笛”の弁者/”ドンジョヴァンニ”に題名役と 追加にレポレッロも。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2955-87a784df
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、当時の日記を修正せずにアップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」