2019-10

2018・3・18(日)大友直人指揮群馬交響楽団東京公演

     すみだトリフォニーホール  3時

 同時間帯にサントリーホールでは、小泉和裕と名古屋フィルが東京公演をやっている。
 時間がずれていれば、両方聴けたものを。せっかくそれぞれのオーケストラが腕に縒りをかけて、年に一度の東京公演をやるという貴重な機会なのに、もったいない話ではある。
 私も最初は名古屋フィルを聴きに行くことにしていたのを、「音楽の友」から演奏会評を依頼されたため群響に転換したわけだが、出来れば両方聴きたかったところなのだ。
 もっともこれは、オーケストラを責めても始まらない。スケジュールを決めたのは1年も2年も前のことだろうし、その時点で他のオケの動向などを調査するのは、まず不可能な業だからである。

 ともあれ、こちら群響の方は、プログラムが珍しい。
 エルガーの序曲「コケイン」、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」(ソロは小川典子)、ヴォーン・ウィリアムズの「ロンドン交響曲」、という選曲。
 英国作品は、音楽監督・大友直人の得意のレパートリーである。期待に違わず、見事な演奏だった。

 大友は、ロンドン市街の雑多な光景を描く序曲「コケイン」と「ロンドン交響曲」で、時に雑然と入り乱れるさまざまな主題や楽想や音型を鮮やかに整理し、「雑踏と混乱の都ロンドン」に陥らせることなく、むしろヒューマンで生き生きした都というイメージさえ感じさせる演奏につくり上げていた。このあたりの音構築の巧みさは、彼のお家芸であろう。
 「コケイン」での、ホルン群がいっせいに咆哮し始めるあたりにかけての演奏の流れの良さは、聴いていて快くなるほどだったし、「ロンドン交響曲」でも「ビッグ・ベン」の音型や、それに続いて「オペラ座の怪人」のテーマを先取りするような物々しいモティーフなどが流れて行くくだりのパノラマ風の音の流れなど、実にいい。
 そして群響も、演奏水準の髙さを引き続き保っているのが嬉しい。コンサートマスターは伊藤文乃。

 ラヴェルの協奏曲では、その群響の豊麗な響きの中を、小川典子の毅然とした意志に貫かれた明晰な生々しいソロが切り裂くように進んで行くさまが、これも実にスリリングだった。彼女の演奏は、ある意味では硬質な鋭さを持っているが、無機的なところは全くなく、透明な明るさにあふれて、しかもスケールが大きい。このピアノ・ソロとオーケストラとのせめぎ合いの面白さも、今日のラヴェルでの聴きものの一つだったであろう。
   別稿 音楽の友5月号 演奏会評

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