2019-10

2018・3・17(土)ベッリーニ:「ノルマ」(セミ・ステージ形式上演)

      Bunkamuraオーチャードホール  5時

 東京二期会オペラコンチェルタンテ・シリーズと銘打たれた公演。こういうシリーズ、聴いたことがないな、と思ったら、今回の「ノルマ」が第1回なのだとか。
 指揮はリッカルド・フリッツァ、東京フィルハーモニー交響楽団と二期会合唱団。歌手は明日とのダブルキャストで、今日は大村博美(ノルマ)、城宏憲(ポリオーネ)、小泉詠子(アダルジーザ)、妻屋秀和(オロヴェーゾ)、成田伊美(クロティルデ)、前田健生(フラーヴィオ)という顔ぶれ。

 合唱は舞台後方に板付きだが、その合唱団とオーケストラの間の高所にソロ歌手たちの動くスペースがある。此処で菊池裕美子の演出により、小道具や持道具等は一切無いものの、象徴的なシンプルな演技が行われる。
 舞台背景には映像(栗山聡之が担当)が投映されるが、これは序曲の間は写実的な光景(この個所での映像の変化は、音楽の変化とよく合っていた)が、本編の中ではやや抽象的な映像が写され、気分的な変化を生み出していた━━大詰は「炎」という予想通りの映像。

 歌手陣が揃って見事な出来を示す。
 大村博美は、ドルイドの巫女ノルマとしてはどうも温かすぎるような感があるが、安定した歌唱と演技を示してくれた。ポリオーネの城宏憲を聴くのは、4年ほど前に「明日を担う歌手たち」を集めた演奏会で素晴らしく張りのある歌唱に接して感心して以来のことになるが、ローマの将軍役にしては少し線の細い感はあるものの、明るい伸びのある声に魅力を感じさせる。

 アダルジーザ役の小泉詠子は、昨年秋の日生劇場での「ルサルカ」における「料理人の少年」での闊達さが印象に残っているが、今回のシリアスな役柄もなかなかよく、ノルマに友情を捧げる場面でのひたむきな演技表現といい、ノルマとの二重唱での表情豊かな歌唱といい、これは楽しみな人だ。
 オロヴェーゾ役の妻屋秀和は、これはもう、舞台を引き締めるには欠かせない歌手であり、歌唱の面でも演技の面でも、彼がいるだけで安心するという存在感の持主である。脇役の成田伊美、前田健生も好演。

 指揮はリッカルド・フリッツァ。この人の指揮はこれまでにも何度か聴いたが、非常に緊迫度の強い引き締まった指揮をする時と、きちんとまとまってはいるが生気のない平板な指揮をする時とがある。新国立劇場の「オテロ」などでは、その両方の特徴が示されていたはずだ。2013年秋にMETで聴いた「ノルマ」も、これほどやる気のない「ノルマ」の演奏は聴いたことがないという出来だったくらいである。
 が、しかし今日の東京フィルハーモニー交響楽団を指揮した「ノルマ」は━━1階15列という、舞台への至近距離で聴いたせいもあってか、劇的にも引き締まり、オケのバランスもよく、また歌手の声とのバランスも安定していて、旋律の美しさを充分に堪能させてくれる演奏に感じられた。そのわりに、歌手たちに比べ、彼へのブラヴォーの声が少なかったのは残念だが・・・・。
 東京フィルも、ステージに乗ると往時の「オペラの東フィル」の名声を取り戻す。

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