2019-04

2018・3・15(木)トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

     サントリーホール  7時

 私の贔屓の指揮者ソヒエフが、彼にとって最も相性が良いと思われるトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団と一緒に、またやって来た。これが4度目の来日である。
 21日までの一連の来日演奏会の今日は初日で、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、ハチャトゥリアン~ランパル編の「フルート協奏曲」(ソリストはエマニュエル・パユ)、チャイコフスキーの「白鳥の湖」抜粋(12曲)。

 今回もまた、演奏が華麗だ。「ルスラン」の序曲における、トゥールーズのオケの管楽器群が実にきらきらと輝いているのがいい。色彩感のない音で真面目くさって演奏された時ほど、この曲がつまらなく聞こえることはないのだから。

 替わってエマニュエル・パユが登場。ハチャトゥリアンの協奏曲は、このようにフルート用に編曲されてしまうと原曲の「ヴァイオリン協奏曲」の野性味が薄められてしまうので私は好きではないのだが、パユの超絶技巧的な演奏なら、まあそれなりに楽しめるだろう。ただ今日は、彼がアンコールとして吹いたドビュッシーの「シランクス」の静謐な美しさがあまりに見事で、これが完全に毒消しのような役目を果たしてくれたような感。

 「白鳥の湖」を外来のオーケストラがこのような形で演奏するのは、招聘マネージャーのI氏も言っていたように、非常に珍しいと言えるだろう。世の中には、この種のプログラムを、何となくバカにする風潮がないではない。
 しかし、ソヒエフと彼のオーケストラによるこういう演奏を聴けば、この作品が如何に色彩的な管弦楽法に富んでいるか、チャイコフスキーの音楽の「持って行き方」が如何に巧いか、などということも理解されるのではないか。

 「4羽の白鳥の踊り」でのバス―ンの洒落たリズム感、「ハンガリーの踊り」や「スペインの踊り」でのオーケストラの多彩な音の変化などの見事さ。憂愁に満ちた個所では、ロシアの冬の澄み切った静けさを思い出させる。
 「終曲」の結尾部分の壮大な昂揚個所が意外にあっさりしていたことだけは少し物足りなかったが(ここはいつかのN響との演奏の方がダイナミックだったかもしれない)、「白鳥の湖」の音楽がこれだけ生き生きと表情豊かに演奏されてくれれば、チャイコフスキー愛好者を公言する私としては嬉しい限りではある。

 オーケストラのアンコール曲は、またビゼーの「カルメン」第1幕前奏曲の前半部分(毎回こればかりやっている)。
     →別稿 モーストリー・クラシック6月号 公演Reviews

コメント

東条先生、こんにちは。この演奏会のレビュー、とても楽しみにしていました。華麗で、色彩感のある・・・期待に違わぬ演奏だったようですね。

ソヒエフ、TVでN響との演奏を聴く印象では、楽団員や聴衆の心をつかむというのでしょうか、昨秋の「イワン雷帝」などでもハッとさせられるものがありました。

ブログ内検索で、先生のソヒエフの記事や皆様のコメントもまとめて読み返した上で(その時々の、曲へのアプローチや選曲など、興味深く拝読しました)、21日に行くことにしたので、楽しみにしています。Bプログラムなので先生もいらっしゃるでしょうか。

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