2019-04

2018・3・10(土)井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団

     フェスティバルホール  3時

 バーバーの「ピアノ協奏曲」、ショスタコーヴィチの「交響曲第2番《十月革命に捧げる》」と「交響曲第3番《メーデー》」。
 ピアノはアレクサンデル・ガジェヴ、合唱は大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮・福島章恭)。コンサートマスターは田野倉雅秋。

 大阪フィルの定期では、毎回必ず福山修・演奏事業部長兼事務局次長が開演前にホワイエで小規模なプレトークを行なうが、これは結構な人気のようだ。最近はスピーカーの音量もやや上がったので声が聴きやすくなったこともあり、数十人の客が演壇を囲むようにして耳を傾けている。
 質問コーナーでは熱心な質問も飛ぶが、これはいかにも関西ならではの雰囲気だろう。今日も「演奏会のプログラムはどういう手順で決めるのか」「井上さんは(今後)ショスタコーヴィチの交響曲を全部やるのか」などをはじめ、「大阪フィルの演奏が日によってガタッと違うのはどうしてか」というきわどい質問までぶつけられていた。
 東京の演奏会でこの種のトークをやっても、こういう開放的な質問はまず出ないだろうと思う。面白い。

 ところで私は、昨年4月から1年契約で、大阪フィルの定期公演のプログラム冊子の解説を担当させていただいていたが、最後の回に当たる今月の定期分で、ショスタコーヴィチの「第2交響曲」に関する一文の中にあり得ないようなミスを生じさせてしまい━━根拠の全くない余計な一語を混入させたままにして、しかもそれを著者校正の際にもうっかり見逃してしまったため、お客さんにご迷惑をかけたことを、せめてこの場でお詫びしておきたい。
 もっとも会場では、マエストロ井上みずからトークで、2千人のお客さんの前でご丁寧にも私の名を挙げ、間違いをわざわざ詳しく説明してみせて笑いのネタにし、「今日は東条さんもここにお見えになっているそうだけど」と、何ともまァ念の入った扱いをして下さったが。

 それは別として、公正に言えば、演奏の方は、見事な出来であった。
 井上道義は、昨年2月の首席指揮者在任最後の定期でも「第11番」と「第12番」を一夜に演奏するというプログラムを組んでいたが、今回の「2番」と「3番」を一緒にやるというプログラムも、演奏時間こそ短いとはいえ、やはり大変な重量感であることは間違いない。
 彼は2007年に日比谷公会堂でショスタコーヴィチの交響曲全15曲をツィクルスで演奏したことがあり、その初日(11月3日)に、「第1番」とともにこの「第2番」と「第3番」を取り上げたことがあるが、演奏の印象という点から言えば、今回は格段の充実が感じられた。大阪フィル、大阪フィル合唱団ともに、極めて熱気のこもった、昂揚感にあふれた演奏だったのである。彼がもっと長く大阪フィルの首席指揮者を続けられていたら、彼のショスタコーヴィチの集大成が実現できたかもしれないのに、惜しいことであった。

 なお今日は邦訳歌詞(一柳冨美子訳)が舞台正面の反響版上方に映されていた。これも、この演奏をより身近なものとするのに役立っていただろう。

 話が前後したが、第1部ではバーバーの「ピアノ協奏曲」が演奏され、ガジェヴが明晰かつスケールの大きな演奏を聴かせてくれた。滅多に聴ける機会のない曲だが、ナマでこういう優れた演奏で聴くと、更にいい曲に感じられる。彼のソロ・アンコールはショパンの「前奏曲 作品45」だったが、これまたすこぶる透徹した美しさに富んでいた。2015年暮の浜松国際コンクール(優勝)以降、素晴らしい進境を示しているようである。

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