2019-10

2018・3・8(木)下野竜也指揮広島交響楽団

         すみだトリフォニーホール 7時

 「すみだトリフォニーホール開館30周年記念」および「すみだ平和祈念コンサート2018《すみだ×広島》」と題された演奏会。1945年3月10日の所謂「東京大空襲」の惨禍に因んだ平和を祈念する音楽の催事は既に1997年から━━毎年必ずというわけではなかったが━━行われて来ており、今年は規模を拡大し、関連イベントも交えて開催されている。

 さて、国際平和文化都市・広島から参加した広響とその音楽総監督・下野竜也によるプログラムは、先日の日本フィルとの演奏会におけるものと同様、いかにも下野らしい選曲配列で、心に訴える効果を生む。
 最初にゼレンカの「ミゼレーレ」(下野編曲)とベートーヴェンの「英雄交響曲」の第2楽章(葬送行進曲)がアタッカで演奏されたが、悲痛な慟哭にあふれた1曲目から切れ目なしに深々とした追悼の音楽へ続くこの流れは、非常に感動的だ。そのあと、藤村実穂子をソリストに迎えてマーラーの「亡き子をしのぶ歌」が演奏され、第1部が終る。

 この悲しみの世界を振り払い、未来への希望を歌うのが第2部の━━何だかPRチラシのコピーみたいな書き方で気が引けるが━━シューマンの「第1交響曲《春》」というわけで、ここではすべてが一転、第2楽章こそ絶妙な叙情美の世界とはなっていたが、他の3つの楽章は、すこぶる開放的で奔放なエネルギーにあふれた演奏になった。
 それは前任の音楽監督・秋山和慶時代の緻密な音づくりとはかなり異なる特徴を示すもので、活気は充分ながらおそろしく荒っぽいところはどうかな、と思わないでもなかった。ただし、第4楽章終り近くでホルンが一瞬不安定さを見せると、その直後からはオーケストラ全体が突然慎重になり、バランスを整えたおとなしい演奏になってしまった(少なくともそう聞こえた)のは予想外。

 しかし、こういうハプニングがあるからこそ、ナマの演奏会というのは人間味があって面白いのである。
 アンコールは、下野自身がまたマイクを執ってスピーチしながら、シューマンの「天使の主題による変奏曲(最後の楽想による幻覚の変奏曲)」からの「主題」(野本洋介編曲)を演奏。

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