2018-06

2018・2・6(火)札幌交響楽団東京公演

     サントリーホール  7時

 恒例の東京公演は、今シーズンで首席指揮者としての契約を終えるマックス・ポンマーの指揮で行なわれた。コンサートマスターは大平まゆみ。

 今回はベートーヴェンの交響曲を二つ━━「田園」に「運命」という、いかにも古都ライプツィヒ生れの老練指揮者らしいプログラムが組まれたが、事実、今日の演奏にも、今世紀に入ってからはほとんど聴けなくなったような懐かしいスタイルが滲み出ていた。

 それは、古色蒼然などという言葉で片づけられるようなものでは決してない。かつての東独の佳き指揮者たち━━オトマール・スウィトナー、ハインツ・レークナーなどといった名指揮者たちの流れを今に受け継ぐ、落ち着きのある滋味にあふれた演奏なのである。
 誇張も、華やかさも、殊更な威勢の良さも全く無いのだが、その飾り気のない語り口の中に、ハッとさせられるような微細な、自然なニュアンスの変化が聴かれる。大きな起伏と強靭なアクセントが、揺るぎのない芯の強さを感じさせる。

 その最良の例が、「第5番《運命》」だったであろう。第2楽章にこめられた温かい情感もさることながら、特に第4楽章の展開部における頂点では、音楽が並外れて立派に、しかも温かく聳え立っていた。決して力任せでなく、しなやかでありながらも壮大な、かつ感情のこもったこのような《運命》の展開部の演奏は、絶えて久しく聴いたことがなかったほどである。

 これだけのヒューマンな演奏を実現させただけでも、マックス・ポンマーと札響の3シーズンの活動は意義あるものだったと言っても、敢えて誇張にはならないだろう。
 アンコールには、バッハの「管弦楽組曲第3番」からの「アリア」が演奏された。バッハゆかりの地、ライプツィヒ出身のポンマーが贈ってくれた別れの歌である。

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