2021-06

2018・1・18(木)角田鋼亮指揮大阪フィルハーモニー交響楽団

     フェスティバルホール〈大阪〉 7時

 角田鋼亮は、大阪フィルとセントラル愛知響の指揮者を務めており、また今年4月からは仙台フィルの指揮者にもなる、という注目の若手である。大阪フィルの定期公演には、今回が初めての登場という。
 今日のプログラムは、コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」(ソリストは竹澤恭子)と、マーラーの「交響曲第1番《巨人》」だった。コンサートマスターは首席客演の崔文洙。

 このホール、私は未だ10回ほどしか聴いていないのだが、どうやら場所によってかなり響きが異なるようで、少なくとも1階席よりは上階席の方が、音が溶け合って聞こえる癖があるらしい。それにより演奏に対する印象・評価が違って来る傾向なきにしもあらずとなると、これは少々厄介な問題だろう。
 私は今回も、上手側高所の壁から突き出しているバルコニー席で聴いた。ここも慣れると、結構バランスのいい音で聴ける。したがって以下は、この「上階席」で聴いた印象である。

 さてその角田鋼亮の指揮だが、コルンゴルトでは予想外に濃厚な響きを大フィルから引き出し、この曲の重要な特徴であるロマンティックで官能的な法悦感を再現させていたのには感心した。竹澤恭子の濃厚な表情に富んだソロもそれらとよく均衡していたと思われる。特に第1楽章など、オーケストラには確実にあの独特の「コルンゴルト・トーン」が聴かれ、また第2楽章でも、見事に耽美的な演奏が聴かれていたのである。

 「巨人」は、入魂の大熱演で、大阪フィルもよくこの若手指揮者を盛り上げ、柔軟な演奏を聴かせていたように思う。第1楽章のコーダ、第4楽章のコーダとも、かなりのアッチェルランドをかけての追い込みは、すこぶる勢いに満ちていた。
 また、協奏曲の緩徐楽章でもそうだったが、「巨人」でも、緩やかな流れを持つ個所に良さが目立つ。とりわけ光っていたのは第3楽章で、コントラバスの1番が素晴らしく上手く、またオーボエ、クラリネット、ファゴットなどのソロが巧かったこともあり、情感がこもっていて、しかも自然な流れがあった。

 ただ一つ、終結ではテンポを速めて一気呵成に押し切った━━それはそれでいいのだが━━せいで、全曲大詰めのオクターヴ下行の2つの4分音符が明確に分離して響かなかった・・・・つまり最後の4分音符のD音がほとんど聞こえなかったことには、やはり疑問が残る。最後までイン・テンポで突っ走った場合、スコア通りに演奏すると、確かにそういうことが生じやすいのだけれども・・・・。

 概してこの人の指揮は━━今日の演奏で聴く限りだが━━音楽そのものがなだらかで自然な流れを示している個所では、彼のカンタービレや、たっぷりした音の響かせ方などが生きて来るようである。しかしその一方、さまざまなモティーフが入り乱れる個所や、あるいは何かを仕掛けてやろうと念を入れるような個所━━たとえば第4楽章で、次の昂揚に移るべく音楽が蠢きはじめる個所など━━になると、その設計に未だ少し流れの悪さを感じさせ、緊張感が希薄になることがある。
 まあしかし、この辺は、経験が解決するであろう問題だ。若い勢いで音楽を熱狂的に昂揚させるあたりは好ましいし、大フィルが若い指揮者を盛り立てようという意気も感じられて、清々しい雰囲気の残った定期であった。
 なお、竹澤恭子が弾いたソロ・アンコール曲は、ヴォーン・ウィリアムズの「あげひばり」。ソロによる演奏だが、これは素晴らしかった。

コメント

花の章とハンス。ロット

この曲を知ったのは50年前、ワルター/コロンビア響のLP、いまだに愛聴していますが終結部の響きがおっしゃる響きになっていると思います。この曲、外来オケでも演奏効果が高いためプログラムによく乗ります。
故に食傷気味の私には1/12日定期、寺岡/大阪響マーラ1番「花の章つき」、ロット「ハムレット序曲」他を選びました。2楽章にこの曲入れること賛成。終楽章の回想部分ともつながります。まさに青春交響曲満喫しました。

ウイーン在住、寺岡さんは芝居気がないですが真摯。菅楽器に問題があったところが見受けられたがロットの曲ももう一度聞きたい曲だ。このコンビ4月のシェンベルグと常任最後のマーラー3番聞き逃せない。

大フィルなのに

2日目聴きましたが、竹澤さんのソロが素晴らしくコルンゴルトは堪能しました。が、巨人の方は勢いあるところは良いけど叙情的に聴かせるところはあまり感心しない出来でした。出も揃ってないし弦がこんなに下手だったかなという印象。デュメイの薫陶を得た関西フィルや、日本センチュリーの方が弦は上手いように思います。トラも多かったからでしょうか。
木管もやたら大きくてバランスが悪く陰翳に乏しい印象。インバルの6番の時は全体にもっと行き届いていたので、指揮者にはこれからの精進を期待したいところです。

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