2021-06

2018・1・13(土)シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団

      サントリーホール  6時

 ブリテンの「ピーター・グライムズ」からの「4つの海の間奏曲」、イェルク・ヴィトマンの「クラリネット協奏曲《エコー・フラグメンテ》」、ブルックナーの「第6交響曲」というプログラム。クラリネットのソロは作曲者ヴィトマン自身。コンサートマスターはゲストの崎谷直人。

 冒頭のブリテンは、恐ろしく物々しく、威圧的な「間奏曲」となった。これほど攻撃的な、激烈な「ピーター・グライムズ」の演奏は、あまり聴いたことがない。ブリテンを現代音楽の闘士として蘇らせたようなこの解釈は、興味深いことは事実だけれども、しかし、聴いていて些か疲れる。

 これは、とにかく荒っぽい演奏ではあったが、後半に演奏されたブルックナーの「6番」も、馬力は充分ながら、何かしら殺風景な演奏だった。第1楽章の最初の頃で、ホルンの1番が吹く挿入句がえらく素っ気なく、機械的なものに聞こえたことも、その第一の要因である。また弦の音色が、いつもの読響のしっとりした色合いとは全く異なり、甚だ荒っぽいものになっていたことも影響しているだろう。
 カンブルランのブルックナーは、これまで「3番」にしろ「4番」にしろ「7番」にしろ、どちらかと言えば透明感を備えた、洗練された表現だったのに━━「3番」だけはかなりダイナミックだったか━━今回は、曲想のせいであるにしても、人が変わったような演奏になっていた。

 だが、ヴィトマンがみずから見事なソロを吹いた協奏曲は、別の意味で面白い。
 カンブルランとヴィトマンは親交があるのか、10年前にも、彼が新日本フィルに客演した際、ヴィトマンの「アルモニカ」という洒落た作品を演奏したことがある。
 今回のこの協奏曲「エコー=フラグメンテ」もカンブルランが2006年に初演したとのこと。

 オーケストラは、下手側に配置されたモダン(443Hz)グループと、上手側に配置されたバロック(430Hz)グループとに分かれ、中央やや上手よりに立つソロ・クラリネットは、音楽的な意味で「二つのオーケストラの間を自由に行き来する」(柴辻純子さんの解説による)という曲だ。2群のオケの各ピッチの違いが、それぞれのチューニングの際に明確に示されていたのは便利なことだった。
 もっとも、この2群のオケが同時に鳴り響いて特殊な音響をつくり出すという瞬間はあまり多くない。そして、聴いている側では、このピッチの違いはむしろ音程の違いのようなイメージで受け取られたのではないか。

 ヴィトマンは、特殊な奏法をも交えて超絶技巧的なクラリネットのソロを繰り広げ、めっぽうクラリネットの上手い作曲家だねえ━━とばかり、客席を沸かせた。彼はもともと、指揮者、奏者、作曲家として活躍する才人である。

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