2021-06

2017・12・21(木)「オペラ夏の祭典2019-20」 発表記者会見

       ホテルオークラ東京  1時30分

 面白そうなプロジェクトが発表された。発案者は大野和士。

 2020年のオリンピックとパラリンピック開催に合わせ、新国立劇場(大野和士が次期オペラ部門芸術監督)と東京文化会館が共同制作し、大野自身の指揮で、2019年7月~8月にプッチーニの「トゥーランドット」を、2020年6月にワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を両ホールで上演するという企画である。
 そもそも「国」と「都」とが共同で文化事業を行なうというケースは今回が初めての由。これも興味深い。

 その上、「トゥーランドット」は、びわ湖ホールと札幌文化芸術劇場が上演に参加、新国立劇場合唱団と藤原歌劇団合唱部、びわ湖ホール声楽アンサンブル、バルセロナ交響楽団(大野和士が音楽監督)が出演。
 一方「マイスタージンガー」は、東京文化会館と新国立劇場の他に兵庫県立芸術文化センターも7月に上演に参加することが予定され、新国立劇場合唱団と二期会合唱団、東京都交響楽団(大野が音楽監督)が出演する、ということが発表されている。

 歌手陣は、国際的に音楽祭の盛んな夏の時期にもかかわらず、イレーネ・テオリン(トゥーランドット)、サイモン・オニール(カラフ)、トーマス・ヨハネス・マイヤー(ザックス)、アドリアン・エレート(ベックメッサー)らが来日するということだし、日本勢も中村恵理、砂川涼子、妻屋秀和、青山貴、林正子らが登場するとのことだから、いいプロダクションになりそうだ。

 ともあれ、中心は、「国」と「都」の双方の文化組織に重要なポストを持つに至った、大野和士である。彼がシェフを務める新国立劇場、東京都交響楽団、バルセロナ交響楽団をすべてプロジェクトに参加させるということからみても、いよいよ「あの大野和士」が新しいことをいろいろやり始めた、という雰囲気が伝わって来る。
 私は、20年以上も前のことだが、新しく出来る東京国立歌劇場(名称は新国立劇場となったが)を芸術面で担うべき中心的人物として、「まず海外の歌劇場で実践を積んだ若杉弘、そしておそらく20年ほど未来に大野和士」の名を挙げ、それを「グランドオペラ」だったか「音楽の友」だったかに書いた記憶がある。若杉氏は志半ばで世を去ってしまったが、今、大野氏が日本のオペラ界に果たすべき役割は限りないものがある。彼の活動を、期待を込めて見守りたいと思う。

 ただ、━━今日の記者会見で、壇上に並んだ東京都や新国立劇場など、上演関係団体の代表たちの表情と挨拶は、何だかおそろしく堅苦しくしかつめらしいもので(びわ湖ホールの山中隆館長だけは少し柔らかかったが)、フリートークで闊達に話す大野和士と極端な対照を見せていた。
 過去の例から私が気になるのは、意気に燃える音楽家と、こうした表情に象徴される団体の堅苦しい組織・姿勢とのギャップである。これからの現実の活動面において、これらがうまく調和して行くよう、心から願うのみである。

コメント

大野和士氏の時代なんですね。東京フィル時代のオペラコンツェルタンテのシリーズには通ったものでした。オーチャードホールへ。。

2演目の主な配役とチームを見て、巧妙な上手いバランスをとっているな。と思いました。
オペラの新制作にはお金が多大にかかりますよね。東京文化会館も使うということは、都からも文化予算を支出させることでしょうか。そして新国立劇場の制作費の負担を抑えて新演出や今までの略歴に裏付けられた意欲的な取り組みを日本で実現させたいのでしょう。。
とても良い機会(Chanceという意味で)に思います。

ただ雇われ人(びと)にすぎないので、日本固有の同調圧力にどこまで耐えられるのでしょう。
芸術監督を2期務めている人がいないだけに、伏魔殿的バリアに迷い込まないことを願います。
やっぱり2期務めないと、国際的な価値ある劇場にはならないと思います。

他の3演目

今回実現しなかった3演目も面白そうですね。ケントリッジの「魔笛」には、意表を突かれました。「ドクター・アトミック」には、思わず唸ってしまいました。「ブエノスアイレスのマリア」は、なるほど、これしかないかという思いです。いつかこれらの3演目も上演できるといいですね。

追記

是非、舞台上演での新制作で日本初演を達成していただきたい演目があるのです。

ベルリオーズ   歌劇”トロイ人”   2部構成の二つとも一夜で上演することです。

理由は、

ミュンフン・チュンは、バスチーユオペラ開場記念公演の一作は、”トロイ人”で。グレース・バンブリーが出演した公演です。

ケント・ナガノは、ハンブルグ歌劇場音楽監督就任披露公演の一作目も”トロイ人”でした。この公演はとても意欲的なものなので3日目の公演を観ました。一時期、Youtubeでも違法状態で見ることは可能でした。

二人に共通しているのは、アジア人の血が流れていることです。偶然でしょうけど。
この作品は、大きな制作費がかかる作品です。D・マクヴィガー演出のものは、ロイヤルオペラハウス、ミラノ・スカラ座、サンフランシスコ歌劇場、ウィーン国立歌劇場の共同制作です。ただ、ウィーンでの上演は未だ実現できていない。

この作品を上演できることは、長持ちさせることはできても再演演目としてのハードルは高いですよね。歌う人材が限られますから。

そうだとしても上演できれば、確実にグローバルな地位は担保される礎(いしずえ)になるでしょう。
本気に上演する気迫を見せてください。その方が立派な経歴になるでしょう。


新国立劇場で折角 トリスタンとイゾルデ で年末年始の劇場を沸かすことに成功したのですから、メシアンは振らなくてよいから”愛の妙薬”を音楽新校訂再演演目として指揮した方が賢明に思います。

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