2021-06

2017・12・16(土)いずみホール・オペラ ドニゼッティ:「愛の妙薬」

      いずみホール(大阪) 2時

 今日は、日帰りで大阪。

 いずみホール得意のセミ・ステージ形式上演オペラ。これまで多数の上演を重ねて来ているが、2011年から河原忠之のプロデュースと指揮で進められて来たシリーズは、この「愛の妙薬」を以って一つの区切りとするとのこと。
 今回は、その河原忠之が指揮するザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団と同合唱団、石橋栄美(アディーナ)、中井亮一(ネモリーノ)、黒田博(ベルコーレ)、久保田真澄(ドゥルカマーラ)、田邊織恵(ジャンネッタ)の出演。演出が粟國淳。

 オーケストラは最初のうちリズムが重く、活気にも少々乏しい傾向があったが、場を追うに従い、ノリもよくなり、第2幕では見違えるほどの明るさを出した。全体として、ドニゼッティの音楽の愉しさを堪能させたことは確かである。

 粟國の演出は、ストーリーを現代のオフィスに置き換えていたが、オルガン下のスペースを巧みに活用し、狭さを全く感じさせない演技空間としてつくり上げたのは、さすがというほかはない。
 大道具などもあまり無いにもかかわらず、オペラハウスで要領の悪い演出を見るよりも遥かにまとまりのいい、凝縮した、陽気で温かいステージが創られていた。これは、彼がこのホールの特性を完璧に手中に収めていたことの証しであろう(演出助手は唐谷裕子)。照明プラン(原中治美)もなかなかいい。

 そして、歌手陣はみんな、歌も演技も上手いこと。
 石橋はこのアディーナ役は初めてというのは意外だったが、いつもの伸びと力のある声で熱演していた。発声にいっそうの緻密さが加わればさらに素晴らしくなるだろう。第1幕でのパンツ・ルックは、実に生き生きして魅力的だった。

 また、中井はこの気の弱いネモリーノを歌い演じて完璧であり、黒田も押しの強い軍曹ベルコーレを「横柄でなく、少しお人好し気味に」歌い演じて見事。久保田もドゥルカマーラを「いかにも信用されそうな風格のインチキ薬売り」らしく堂々と歌い演じた。田邊のジャンネッタ役は大収穫で、ふつうの演出ではさっぱり目立たぬこの役が、今回ほど生き生きした「オフィスの女性」に見えたことはない。
 その他にも見事だったのはザ・カレッジ・オペラハウスの合唱団、特にその女性団員たち(6人)だ。少人数だけに、特に第1幕のオフィスの場面では、その闊達な演技と歌唱が鮮やかに印象づけられた。

 字幕の制作と操作は藤野明子。この文章は明るく、しかも読みやすく、秀逸。物語の内容と舞台の雰囲気にぴったり合った訳文とは、こういうものを謂うのである。

 「いずみホール・オペラ」のこのシリーズは、次の3年ほどはバロック・オペラに取り組むそうである。

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