2021-06

2017・12・5(火)伊藤翔指揮東京フィルハーモニー交響楽団

     サントリーホール  7時

 昨年の第1回ニーノ・ロータ国際指揮者コンクールで優勝した伊藤翔が客演、カバレフスキーの「コラ・ブルニョン」序曲、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」と「交響曲第4番」を指揮した。
 ソリストは小山実稚恵、東京フィルの今日のコンサートマスターは依田真宣。

 伊藤翔は、この他にも2011年のルトスワフスキ国際指揮者コンクールで第2位になっている由。「振り方」がどうのこうのというような話は、その道の専門家たちが批評なさるだろうから、私は聴衆としての立場から、音楽がどのように聞こえたかについてだけ書く。

 若いに似合わず、音楽を上手くまとめる人だという印象である。
 例えば「第4交響曲」では、なだらかなカーブを描くように演奏の起伏をつくる。デュナミークの対比は大きいが、それは穏やかな曲線を描くように、自然な流れの中に構築されるので、決して鋭角的で攻撃的なものにはならない。それは一つのやり方だろう。

 だがその一方、音楽に「矯め」が無く、概して坦々たるテンポと表情で進む結果、チャイコフスキーがこの曲に織り込んだはずの躊躇い、苦悩、憂鬱、夢想、とかいったような、情緒的な要素が感じられなくなってしまうのだ。
 若い指揮者だからそこまでの深みは━━という見方もあろうが、しかし第2楽章の終結などには、作曲者が言う「人生に疲れ切った」情感が、見事に湛えられていたのである(ここでは東京フィルの演奏も良かった)。
 
 いずれにせよ、バランスよく器用にまとめること自体は悪いことではないけれども、若いうちは、演奏の表現に、粗削りでもいいから、もう少し傍若無人な勢いの良さが欲しい気もする。いろいろなレパートリーで、彼が今後どのような進展を示して行くか、興味がある。

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