2021-06

2017・12・1(金)マックス・ポンマー指揮札響「クリスマス・オラトリオ」

      札幌コンサートホールKitara  7時 

 札幌交響楽団12月定期公演の初日。
 2015年4月から首席指揮者を務めて来たマックス・ポンマーも、間もなく3月でその任期を終る(後任はマティアス・バーメルト)。
 その仕上げの一環として、ポンマー十八番のバッハを、それも大作「クリスマス・オラトリオ」を取り上げた。今回は第1・2・5・6部のみの上演だったが、それでも演奏時間は正味2時間かかる。終演は、9時15分になった。

 合唱は札響合唱団、東京バロック・スコラーズ、ウィステリア・アンサンブル。声楽ソリストは針生美智子(S)、富岡明子(Ms)、櫻田亮(T)、久保和範(Br)。コンサートマスターは田島高宏。

 ポンマーは、オーケストラを柔らかく、温かく響かせる。それは、人間味豊かな、古き良き時代のバッハとでもいうべきか━━こういう言い方は実に曖昧なものだという気もするが、要するに現在ではあまり聴けなくなったような、しかし心温まる懐かしいタイプのバッハ演奏というような、世間一般の言葉の綾のイメージとして言っているのである━━それは時には温厚に過ぎて、もどかしい気分にさせられることもあるとはいえ、やはり美しい。

 たとえば第2部、幼子を見に行くよう羊飼いたちに呼びかけるテノールと、それに寄り添うフルートの好演(第15曲のアリア)、あるいは同じように呼びかけるバスのレチタティーヴォを支えて波打つ弦の優しい響き(第18曲)、そして眠る幼子イエスに呼びかけるアルトを囲むオーボエダモーレと弦の夢幻的な世界(第19曲)など、━━そういう個所で、ポンマーと札響と声楽ソロ陣は、本当に見事な演奏を聴かせてくれたのである。この第2部は、今夜の演奏の中では白眉と言えるものだった。

 なお、第1部では上手側手前に配置された3本のトランペットが活躍したが、その1番を吹いたのが新人の若い女性奏者で、小気味よいほど鮮やかなその演奏は、まさに「クリスマス・オラトリオ」の幕開きに相応しいものだった。ただしこのトランペット・セクションの勢いがあまりに良すぎて、その大音量にオーケストラが消されてしまう傾向があったことは確かである。
 この奇怪なバランスには首をひねらされたが、しかし第6部でトランペットの1番が練達の首席奏者(福田善亮)に交替するや否や、途端にトランペット群とオーケストラとのバランスが整い、絶妙のアンサンブルとなったのだから━━曲想の違いがあったのはもちろんだとしても━━オケというものはつくづく不思議な生きものである。

 この第1部の冒頭は、オケもそうだったが、合唱も少々危なっかしくて冷や冷やさせられるほどだったが、第4曲のアルトのアリア、あるいは第5曲のコラールあたりからは、どうやらペースを取り戻したようであった。おそらく2日目(土曜日)の演奏では、この辺は改善されたのではないかと想像する。
 ただし今回のコーラスは、ソット・ヴォーチェで歌うことに慣れていないのか、特にテノール群はもっとトレーニングを積む必要があろう。

 今日の札幌市内は雪もなく、晴れていたが、流石に空気の冷えは壮烈だ。東京の気持の悪い底冷えと異なり、実に爽快な雰囲気だが、5分も歩いていると、たちまち足元から冷えが昇って来る。このあたりの服装の調整が、東京からふらりと行った旅行者にはなかなか難しい。

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