2019-08

2017・11・19(日)ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

        ミューザ川崎シンフォニーホール  6時

 マリス・ヤンソンスの後任として、昨秋から首席指揮者に就任しているダニエレ・ガッティ━━ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)が彼とのコンビで来日するのは今回が初めてである。
 このガッティという人、ナマでは私もこれまで数え切れないほど聴いて来たが、オペラにしろコンサートにしろ、どうもピンと来なかった。だからRCOのシェフとしては、あまり期待していなかったのだが、━━今日のマーラーの「第4交響曲」には少々驚き、コンサート・レパートリーにおけるガッティの感性を、俄然見直した次第だ。

 第1部でのハイドンの「チェロ協奏曲第1番ハ長調」では、RCOの首席チェロ奏者になってしまったタチアナ・ワシリエヴァが、少し重かったが濃厚なソロを聴かせてくれた。ここでは、ガッティの指揮も、まず標準的といったところだろう。

 しかし、RCO、ガッティともに個性的だったのは、休憩後のマーラーの「第4交響曲」だ。これほど明晰な構築で演奏された「4番」は、滅多に聴いたことがない。
 チェロやコントラバスのパート各々がまるで一つのソロ楽器のように響く。管楽器の各々がメリハリよく明確に際立ち、粒立って聞こえる。ホルンもクラリネットも、くっきりと浮かび上がって響いて来る。つまり大オーケストラの中の楽器の一つ一つの存在がはっきりと感じ取れるのだが、しかもそれらがアンサンブルとして完璧にバランスよく響いているのである。

 もともとマーラーのこの時期の交響曲━━特に「3番」と「4番」━━のスコアはそのように室内アンサンブルのような精緻さで書かれているのだが、それをこれほど浮き彫りにした演奏は滅多にないだろう。こういう「4番」は、ふんわりした穏やかな円満な感じの演奏の「4番」より、はるかにスリリングで面白く、退屈させられることがない。

 ガッティの設計も、なかなか細かい。第3楽章では陶酔的な主題を美しく歌わせ、思い切り大きな「矯め」をつくりながら神秘的な雰囲気を醸し出し、その緊張をあのフォルテ3つの爆発で解放(ここでソリストが上手ドアからゆっくりと登場して来るのは予想通り)したあと、再び夢のような沈潜に戻って行き、━━そしてクラリネットが楽譜通りのピアノ3つで温かく主題を吹きはじめ、かくて別の世界に入って行くという、このあたりの流れはひときわ素晴らしかった。「鈴のモティーフ」を激情的に奏させ、歌による夢幻的な世界と鋭い対比をつくり出すのも印象的である。
 このマーラーだけを聴いて云々するのは早計だろうが、こういう芸当(?)を見せるガッティであれば、RCOとの共同作業、案外うまく行くかもしれない。

 なお、ソリストのマリン・ビストレムは、ユリア・クライターの代役としての出演だが、声質はソプラノというよりメゾ・ソプラノに近い。これが曲に翳りを生じさせ、不思議な面白さを感じさせた。立ち位置は最後段、ティンパニの上手側横だったが、声楽がオーケストラの奥から響いて来るという音響効果も、これが「声楽曲」でなく、それまでの管弦楽の流れの中に加わった一つの天使の声なのだ、というコンセプトを感じさせるものであった。

コメント

京都で拝聴しました。

前日の京都コンサートホールでの公演は同プログラムでした。ハイドンの「チェロ協奏曲」ではタチアナさんのソロが圧巻でした。奥の深さを感じます。マーラー「第4交響曲」は、アンサンブルが素晴らしかった!管楽器のメリハリだけでなく、弦、とりわけ第2ヴァイオリンの存在の大きさを感じました。ソリストのマリン・ビストレムさん、代役ながらも好演でした。演奏が終わったあとの余韻。素晴らしい演奏に感謝です!

20日に行きました。

ご無沙汰しております。

小生は、20日(月)の方の公演に行ってまいりました(ベートーヴェンのVn協奏曲とブラームスの1番、ソロはフランク・ペーター・ツィンマーマン)。別プロ公演についてコメントするのはマナー違反かもしれませんが、ご容赦ください。

とにかく、前半のベートーヴェンが始まった瞬間、このオケの渋い音色の弦、高度にコントロールされた管、両者の絶妙なバランスに耳を奪われました。ヴィオラ首席の波木井さん、ティンパニの安藤さんなど日本人奏者が目立つところで活躍されているのも嬉しく思いました。ツィンマーマンの演奏は、かなり体を動かしながらオケの奏者とアイコンタクトをとる、これぞ協奏という感じのものでしたが、生気あふれる溌剌としたベートーヴェンでした。鳴り止まぬ拍手に応えたアンコールのバッハには全聴衆が惹きこまれました(ストラディヴァリウスの美音を堪能させていただきました)。

後半のブラームス、ガッティは、弦楽器のフレージングに独特のニュアンスを込めたり、しばしば唸り声を出しながら、最後まで弛緩することのない演奏を聴かせ、(14編成だったことからスケール感・重厚感は少し不足した面もあったかもしれませんが、)とても素晴らしい演奏だったと思います。

ところで、当日前半の弦楽器(対抗配置)が、10(1st Vn)-12(2nd Vn)-8(Vla)-6(Vc)-5(Cb)という編成になっていました(小生の勘違いでしょうか。VnとVlaを見間違えてはいないと思うのですが)。ツィンマーマンは、ほぼ全編を通じ、1st Vnのパートを一緒に演奏していました(一部2nd Vnのパートを演奏しているところもありました)が、この変則的な構成(1stと2ndの人数逆転)はソリストを1stの要員としてカウントした結果なんでしょうか。このような編成を初めて見ましたので、諸賢各位からご教示いただければ幸いに存じます。

マリン・ビストレムが来たんですね。儲けものだと思います。
今度はオペラ歌手として来日してほしいです。10年後が楽しみです。

初演時の音楽体験

今回は横浜・川崎を嫌って、六本木を選びました。
「いびき」が何回も聞こえてくるので、あたりを見回すが該当者が居ない。ガッティの「うなり声」だった。普通はクライマックスで「うなり声」を上げる指揮者が多いが、ガッティは叙情的な音節の前にうなる。しかも、鼻に吸い込むので「いびき」となります。昔の脂ぎったロシアの指揮者を観ているようでした。
演奏はマーラーの音響作曲への、斬新さ・偉大さを改めて知らしめる “あっ!”という瞬間が何度もあり、発表当時の聴衆と同じ驚きを、今共有できる喜び・驚きに満ちたもので、オランダでは血だらけのサロメが静々と歩み出て歌う「天上の喜びを含めて、レコードやCDでは聞こえて来ない音楽体験でした。
「体を揺らすな」・「足踏みするな」と楽章の合間にワザワザ言ってくる者がいるが、管はラッパを上に向けて音を吹き放ち、弦は音に酔って体を揺すって音を奏でる。オーケストラがスイングしているのに、背筋を伸ばして、手をお膝にのせて聴いていたら、何てのりの悪いシラケた客だと、オーケストラに言われてしまうよ! 客席のオランダの方々の音楽の楽しみ方を合わせて体感できて、これが何百年と続く文化の根源だと、つくづく思いました。
然し、先日のゲバントハウスとは全く異質本日の聴衆。小国ながら世界に植民地を持ったオランダ王国の歴史の重み、深みを観客席に見ました。

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程度の問題

「体を揺らすな」・「足踏みするな」
程度の問題でしょうね、足音を立てていたならアウトです
それと、そういうことをここで反論するのもどうかと思いますよ
背筋を伸ばして、膝に手おいて聴いて何が悪い、人それぞれです
お互い尊重しましょう

背筋を伸ばして膝に手を置いて…とまではいかなくても行儀良く聴くというのが我々日本人のマナー。体を揺らして足踏み状態で聴きたいならコンセルトヘボーで聴きなさい。プロムスじゃないんだから流石に怒られるんじゃないかな?

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