2019-05

2017・11・18(土)ピエタリ・インキネン指揮日本フィル

       サントリーホール  2時

 メインのプログラムは、ブルックナーの「交響曲第5番」。インキネン=日本フィルのブルックナーとしては、今年1月の「第8交響曲」に続くものだ。

 「8番」の時と同様、テンポを遅く採った演奏である。
 ただしあの「8番」ではトランペットなどが抑制され、どちらかといえば柔らかい感じの演奏になっていたのに対し、今日の「5番」では金管群もティンパニも豪放に轟き、全管弦楽のリズムも非常に鋭角的になり、驚くほど厳めしく、かつ攻撃的な演奏になっていた。第3楽章など、あたかもハンマーで叩きつけるかのような、コンクリートの角材を打ち込むかのような、強靭なリズムで進められていたのには、本当に驚いた。

 第4楽章最後の豪壮なクライマックスでのティンパニは見事なトレモロだったが、最後の変ロ長調の和音を、その前のトレモロから一度切って「独立気味に」叩いたのは指揮者の指示かもしれないけれども、全体の流れからするとやや疑問がある。
 しかし、この終結部は素晴らしい盛り上がりを示していた。コラールの和声的な美しさや陶酔感などには不足するところがあったものの、これは今の段階では仕方のないところだろう。

 ともあれ、これほど咆哮し怒号しながら、全体に音が濁らなかったのが立派である。これは、日本フィルにとっての新境地だろう。

 「インキネンのブルックナー」に関しては、「8番」の時にも未だ全貌がつかみにくいと書いたが、今日の「5番」を聴いて、ますます彼のコンセプトが把握しにくくなった。
 彼の方針は、ある作曲家の作品群はこのようなスタイルであるべき、という考え方でなく、同じ作曲家のものであっても、作品によっていろいろなスタイルを出して行く、というもののようだが、その基準点、分岐点を何処に置いているのかが解りにくいという意味である。

 とはいうものの今回、日本フィルとしては、過去にほとんど聴いたことのないような整然とした剛直なスケール感を備えた演奏がつくられていたことには間違いない。インキネンが首席指揮者に就任して以来、このような新しい境地が開かれて来ているのは、本当に喜ばしいことである。
 なおこの「5番」に先立ち、「日本フィル共同委嘱作品」として2年前に作曲されたラウタヴァーラの「In the Beginning」という、短い、美しい作品が演奏された。作曲スタイルは全く異なっているにもかかわらず、これはそのあとの大交響曲と調和する。ただしこの2曲は続けて演奏されたわけではなく、ただ「休憩を挟まずに」演奏されただけである。
 コンサートマスターは扇谷泰朋。

コメント

飛躍?

8番の後には「弦あくまでも美しく、管あくまでもノーブルで」と書きました。今回もコーダでの高揚感の中にも統制感がしっかりとあるのは感じながらも、その時と比べて猛々しいところもあり、大きな飛躍?を感じましたが、そこが「コンセプトが把握しにくくなった」という評価になるのですね。たしかに。おもしろいですね。それがぶれなのか、新境地なのか・・・これからも期待したいと思います。                                それにしても、土曜日の拍手とブラヴォはもう少しあってよかったなぁ。日本フィルもここまで来たかと感じさせるあの熱演に対する正当な評価になっていません。帰りの聴衆の中で「ああ、よく寝た。最高のBGMだった」「たまには、ブラスバンドみたいに金管が爽快な曲もいいね」という声も聞かれたので、みんながみんな、ブルックナー好きではないし、インキネンの演奏がわかってるわけではないということを割り引いたとしても・・・。

18日(土)に聞きました。vnの清澄な掛け合い、木管、金管、ともに、濁りのない迫力のある、響き、で感動して帰宅しました。インキネン、自分の解釈よりも、シェフとして日本フィルの演奏力向上を優先しているのかな、とも感じました。日本フィルもここまで来たか、と思うと、過去の「楽器バザー」にも協力したひとりとして、感激の涙がでました。

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