2019-05

2017・11・17(金)トゥガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団 「イワン雷帝」

      NHKホール  7時

 このところ3シーズン連続でN響に客演、何となく「首席客演指揮者」のような存在になってしまったトゥガン・ソヒエフ。回を重ねるごとにオーケストラとの呼吸が合い、演奏も鮮やかさを増して来るようである。

 特に今月のC定期、プロコフィエフのオラトリオ「イワン雷帝」(スタセヴィチ編)の演奏は、流石と言えるものだった。
 N響(コンサートマスター・篠崎史紀)が響かせる豊かな音の量感が生み出す壮大なスケール感は、言うまでもない。だがそれ以上に、ソヒエフがN響から引き出したこの日の演奏には、プロコフィエフの音楽が持つ、独特の雰囲気が━━それは旋律や和声の音色などを含んではいるが、それだけではなく、聴き手が一瞬のうちに「プロコフィエフ!」と感じてしまうあのえもいわれぬ独特の個性的な音楽のことなのだが、それが演奏の多くの個所にあふれていたのである。
 異国のオーケストラから、このような特徴を引き出すソヒエフの力量は、やはり卓越したものというべきだろう。

 そしてまた感嘆させられたのは、東京混声合唱団(合唱指揮・松井慶太)と東京少年少女合唱隊(合唱指揮・長谷川久恵)の見事さだ。
 とりわけ、両者がア・カペラで歌う「タタールの草原」━━プロコフィエフが「戦争と平和」でも使っている曲で、私は何故かこの曲がえらく好きなのだが━━での、弱音からクレッシェンドしつつ、低音から高音へと拡がって行くこの合唱の美しかったこと! それはロシアの合唱団が歌う時のような、大地から湧き上がって来るかの如き力強さとは違うけれども、その代り澄んだ透明な音色の響きが祈るように拡がって行くといった神秘性を感じさせたのである。敢えて言うなら、今日はこれを聴けただけで満足したと言ってもいいか。
 因みにこの「イワン雷帝」には、チャイコフスキーが「1812年」に使ったロシア聖歌「主よ汝の民を守り給え」なども出て来て、なかなか楽しいものがある。

 独唱のスヴェトラーナ・シーロヴァ(Ms)とアンドレイ・キマチ(Br)も好演。
 ナレーターとして片岡愛之助が出演、曲の間や曲に乗せる形で、これだけは日本語で非常に劇的な「語り」を展開した。ナレーションがちょっと伸びて、合唱の入りにかぶってしまったところが1カ所だけあったのを除けば、まずうまく行っていただろう。ナレーションが終って演奏に入る時の「間」は、もう少し詰めたい気がするが、外国人指揮者との協同作業となれば、その辺は難しいところだ。

 なおプログラム冊子には、演奏時間69分と記載されていたが、これはソヒエフのCD(語り無し)での数字だ。ナレーションが入った今日の演奏は82分ほどになっていたはず。

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