2019-05

2017・11・16(木)オーギュスタン・デュメイ指揮関西フィル

      いずみホール(大阪) 7時

 関西フィルハーモニー管弦楽団の「いずみホール定期」を、音楽監督オーギュスタン・デュメイの指揮で聴く。
 シューマンの「マンフレッド」序曲、同「チェロ協奏曲」(ソリストはアントニオ・メネセス)、シューベルトの「交響曲《ザ・グレイト》」。コンサートマスターは近藤薫。

 デュメイと関西フィルを、シンフォニックなプログラムで聴くのは久しぶりだ。もともと彼の指揮は、ちょっと奔放で、時に荒々しい力ほどの力を噴出させるスタイルだという印象もあったのだが、しかし今日の前半のシューマンの2曲では、極めて翳りのある音色と表情を関西フィルから引き出していたのが、とりわけ印象的だった。
 「マンフレッド」では曲の標題に相応しく、特に後半では激情をこめた緊迫感を漲らせた。「チェロ協奏曲」でも、アントニオ・メネセスの深みのあるソロに対抗してオケから引き出した憂愁感とメリハリの強いリズムは、なかなか「聴かせる」ものであった。

 それにしても、メネセスのヒューマンな演奏は素晴らしい。特に後半にかけての雄弁な昂揚は、シューマンの陰翳に富んだ美しさを余すところなく描き出して、実に強い感銘を与えてくれた。メネセスは、この曲を最近レコーディングしたばかりということもあってなのか、あちこちで演奏しているようである。日本でも、このあと紀尾井ホール室内管とこの曲を協演することになっている。

 「ザ・グレイト」は、このところ妙に演奏会でよく聴く機会があるが、今日のそれは実にユニークなものだった。
 デュメイのテンポは、第1楽章序奏からして相当速い。特に第2楽章などは、スコア指定の「アンダンテ」ではなく、アレグレットか、あるいはそれ以上か。最初の主題では、軽快なリズムで、弾むように演奏していた。

 各楽章の演奏時間は、大雑把な計測だが、13分、13分、13分、10分。第1楽章と第4楽章の各提示部はリピートなし。それでも50分ほどにまで達していたのは、第3楽章のスケルツォ前半とトリオがリピートありだったのと、第4楽章が(速いながらも)比較的通常のテンポに近い速度だったからだろう。

 そういえば昔、ユーディ・メニューインが新日本フィルを指揮した時、リピートは一切なしで、しかも終楽章を前代未聞の速力で驀進させ、全曲を計43分という、あり得ないような演奏時間でやってのけたことがあった。
 今日の演奏の場合、かりにスケルツォとトリオの反復がなければ4分ほど縮まったはずだから、そうすれば45分・・・・。あり得ない数字でもない。考えてみると、メニューインもデュメイもヴァイオリニストだ。ヴァイオリニスト出身の指揮者が振るとそうなるわけでもあるまいに。

 こういう快速テンポで演奏すると、細部が粗っぽくなるのはある程度致し方ない。
 だが想像するに、デュメイとしては、この「ザ・グレイト」を、ロマン派音楽を確立したモニュメントだとか、あるいは古典派音楽の偉大な残照だとかいったイメージで捉えるのではなく、むしろこの曲の中に、「オーストリア人シューベルト」の自由奔放な、軽快な性格を見ていたのかもしれない。
 この演奏を詳細に聴けば、一気呵成に単調に押しまくるのではなく、フレーズごとに、あるいは主題の移行個所で細かくテンポを調整していたし、粗っぽいように見えても、主題に微細な漸弱・漸強を施していたのが判る。

 また第3楽章トリオでは、特に木管の声部のバランスに気を配っていたと思われる。関西フィルがそのデュメイの意図に全面的に応じられたとは言い難かったが、しかし第3楽章トリオでの演奏はことのほか美しく、特にオーボエをはじめ木管群が━━ハーモニーとして動くよりもメロディ・ラインとして交錯するというユニークな構築には、格別な面白さがあった。

 オーケストラのアンコールは、ビゼーの「アルルの女」からの静かな「アダージェット」。これは以前にも聴いた。デュメイはこの曲が好きと見える。

コメント

デュメイさんの一言

「ザ・グレイト」の練習時、「この曲を重くはしたくない。ミュンヘンではなく、ザルツブルクの音にしてほしい。」と、デュメイさんはオケの方々におっしゃったそうです。それが、東条先生の「オーストリア人シューベルトとしての自由奔放で軽快な性格を見ていたのかもしれない。」ということなのですね。アントニオ・メネセスさんのシューマン「チェロ協奏曲」も素晴らしい音色でした。貴重なひとときを有難うございました!

魔法使い

11/23日でデュメイ/関西フィル定期を初めて聞きました。1部がフランクのヴァイオリンソナタ 2部がサンサーンスの2番のピアノ協奏曲、「ローマの謝肉祭」、「魔法使いの弟子」という変則的プログラム。
そのおかげで彼の魅力的な音色のフランクを聞けたのですが。
昔、このホールで聴いたチョン・キョンファを想いました。

彼の指揮する関西フィルがフランス的な音色に早変わりし繊細さと豪放さを併せ持ったアンサンブルに変貌したのが驚きでした。(まるでこの指揮者、魔法使い。)横山氏のサンサーンスも同様にこの珍しい曲の魅力を弾ききった。このホールの響きが演奏効果をより引き出したともいえる。アンコールは同じアルルの女から。
デュメイ/関西フィル今後、見逃せなくなりました。

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