2019-08

2017・11・9(木)NISSAY OPERA ドヴォルジャーク:「ルサルカ」

      日生劇場  1時30分

 東京公演はダブルキャストによる計3回公演で、今日は初日。
 田崎尚美(ルサルカ)、樋口達哉(王子)、清水那由太(木の精ヴォドニク)、清水華澄(魔法使の老婆イェジババ)、腰越満美(外国の公女)、森番(デニス・ビシュニヤ)、料理人の少年(小泉詠子)、盛田麻央・郷家暁子・金子美香(森の精)、新海康仁(狩人)の歌手陣に、東京混声合唱団、読売日本交響楽団、山田和樹(指揮)。

 ピットを高めにし、更に木管とホルンを舞台上に配置して、さながらセミ・ステージ上演の趣さえある舞台だったが、これは演出家・宮城聰の意図だと聞いた。しかしこの、あまり大きくない演技空間を使っての演出は、部分的には不満もあったものの、全体としては予想した以上に要を得ていたと思う。

 たとえば第2幕では、赤色系の照明に照らされた華やかな人間界の中で、ルサルカにのみ白色の照明を当て、彼女が疎外されていることを表わしていたが、彼女をずっと上手側に佇立させたまま動かさず、照明のみで他の華やかな登場人物との対照を見せたアイディアは、この狭い舞台をむしろ生かす効果的な結果を生んでいたであろう(照明は沢田祐二、空間構成は木津潤平)。
 ただし欲を言うなら、第3幕で終始舞台上にいて、森の精霊たちの呪詛の対象になっている王子の表情にもっと苦悶のようなものがあれば、と思ったこと、また第3幕でのルサルカの衣装━━というより「着ている洋服」が、何とも世俗風に過ぎて幻想味を失わせていたこと、などだろうか。

 ともあれ今回の上演は、幻想的な物語展開の中に自然と人間の対立や男女の宿命的な悲劇を象徴的に織り込んだ「ルサルカ」という作品を、室内オペラのような形で再現しようとした試み━━と解釈せざるを得ないが、それはその範囲ではかなりの程度まで成功していたと見ていいのだろう。ただ、日生劇場という、それなりの規模を備えた劇場が制作するオペラ・プロダクションとして、このスタイルが適していたかどうかは、別の問題である。

 歌手陣は好演。題名役の田崎尚美は、安定した歌唱を聴かせてくれた。しかも特に第2幕の茫然と佇んでいる場面では、実に悲しそうな雰囲気を全身で表現し、哀れを誘う演技を見せていたところなど、立派なものである。その他、登場した瞬間に華麗な雰囲気を感じさせる腰越満美の見事な存在感、コミカルな味も湛えつつ不気味な雰囲気を出した清水華澄の巧さ、歌と演技を客席で繰り広げたデニス・ビシュニヤと小泉詠子の素朴で温かい味なども印象に残る。

 山田和樹と読響も、魅力的な演奏をしてくれた。大編成のオーケストラが目の前にいながら、その音量の調整がすこぶる巧いので、歌は全くマスクされず、客席によく響いて来たのは有難いことだった。ドヴォルジャークも管弦楽の使い方にもよるのだろうが、山田の「歌とオーケストラ」のバランスの扱いにも鮮やかなものがあるだろう。

コメント

12日に観ました。

美しい舞台空間、出演者の配置、効果的な照明、緩急のついたオーケストラ、一部出演者の演劇的な演技、なかなかよかったと思います。

山田和樹さんの指揮は、生では初めてでしたが、率直に好感が持てました。

配布されたプログラム冊子が充実しており、プログラム代千円分得した感じ、これはありがたいです。

12日に見ました。感想は「酷い」のひとこと。女、子ども向けに(女、子どもの方、すみません)シンプル化したのか、知恵がなくて、時間がなくて(歌舞伎で忙しくて)こうなったのか。難民、移民問題と重ねて考えたら、とはいわないが、今の時代にあまりにノーテンキな演出ではないか。芝居がダメなら音楽に期待したいが、小さな空間にオケを鳴らしすぎて幻滅。フィリップ・ジョーダンがオケピの床面の高さは10センチ上げ下げしてもホールの響き方はずいぶん変わる、といっていた。なぜこんな高い位置に(さらに舞台上まで)オケをおかねばならないのか。疑問だらけです。率直にいって、代金(と浪費した時間)を返してもらいたいものです。

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