2021-06

20017・10・22(日)山田和樹指揮仙台フィルハーモニー管弦楽団

     仙台銀行ホール イズミティ21・大ホール  3時

 早朝に衆院選の投票を済ませ、仙台へ。当初の予定ではゆっくり1泊する計画だったが、台風が来るとあって、早々に逃げ帰る。
 聴きに行ったのは、山田和樹指揮、仙台フィルの特別演奏会だ。プログラムは、シベリウスの「カレリア」組曲と「交響曲第2番」、その間にグリーグの「ピアノ協奏曲」がキム・ヒョンジュンのソロで演奏された。コンサートマスターは神谷未穂。

 このホール、前回行った時にも書いたが、残響がほとんどないので、オーケストラの音色に潤いも余情も感じられなくなるという傾向がある。オーケストラだけではない、ピアノも同様だ。
 今日はピアノの位置が影響していたのかどうかは分からないけれども、音は非常に綺麗ではあるが、細くてふくらみがなく、しかも客席中央で聴いた範囲では、音がまっすぐこちらに来ず、オーケストラの中に埋もれてしまうという結果になっていて、首をひねった。

 このキム・ヒョンジュンという未だ20代半ばの女性は━━昨年の仙台国際コンクールで優勝した時には残念ながら聴いていないが、素晴らしい演奏だったという評判だし、CDで聴いてもすこぶる魅力的な演奏をする人なのに、今日は楽器の問題でもあったのか。アンコールに弾いたチャイコフスキーの「秋の歌」でも、音の透明な美しさと感性の瑞々しさは充分に伝わって来たけれども、いまいち何か「遠い」。いずれにせよ今日の演奏における印象は、彼女の本領を理解するには適さなかったようである。

 しかし、山田和樹と仙台フィルのほうは、そうしたこのホールの不備なアコースティックを解決するべきテクニックを心得ているらしく、巧みに音のバランスを取って演奏していた。「カレリア」の「間奏曲」の弦の刻みなど、かなり強調されてはいたが、面白い。
 また、アンコールでのシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」での弦の瑞々しく力強い響きは、聴き応えがあった(アンコールに、「悲しきワルツ」などでなくこの曲を、しかも「アンダンテ」のテンポで演奏してくれたことは有難い)。

 「第2交響曲」ではかなり激しい感情の吐露が聴かれたが、これもこのホールの音響的不備を補って余りある見事な演奏だったと思われる。
 ただ、こういう響かないホールでは、ピアニッシモは、少し大きく演奏してくれないと、聞こえなくなるものだ。第3楽章でのティンパニのパウゼを挟んでの一打、あるいは第2楽章初めの低弦のピッツィカートなどがその例である(このピッツィカート、チェロ・セクションには些か不満が残る)。

 山田和樹のプレ・トークは、相変わらず客への語りかけが巧く、見事だ。しかも終演後には自らホワイエに出て来て聴衆との交流を図るという、サービス精神満点の活躍。彼は今年春でミュージック・パートナーのポストを辞しており(2017年3月28日の項)、今後しばらくは客演の機会がないかもしれないということで、このようなお別れの挨拶になったのだろうと思われる。彼は、オーケストラとの間に温かい雰囲気をつくり出すことのできる数少ない指揮者のひとりであると聞く。

 9時4分の「はやぶさ」で帰京。仙台も雨足が強かったが、東京はすでに豪雨の台風状態。

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