2021-06

2017:10・20(金)ラドミル・エリシュカ指揮大阪フィル

     フェスティバルホール(大阪)  7時

 チェコの名匠、ラドミル・エリシュカ最後の来日。大阪フィルへの最後の客演、2回公演のうちの最終日。
 ドヴォルジャーク・プログラムで、「伝説曲」から最初の4曲、「テ・デウム」、「交響曲第6番」。
 「テ・デウム」での合唱は大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮は福島章恭)、声楽ソリストは木下美穂子と青山貴。コンサートマスターは田野倉雅秋。

 エリシュカが指揮棒を振り始めると、「伝説曲」の第1音からもう、ドヴォルジャーク独特の郷愁の音楽が、大阪フィルからあふれ出て来る。どこからこういう魔術が生まれて来るのだろう。大阪フィルの演奏会は最近しばしば聴いているが、これほど温かい演奏は滅多に聴いたことがない。音色には全体としてもう少し美しさを期待したいが、メンタルな音楽という意味では、今日は完璧ともいえるほどの演奏だった。
 「第6交響曲」の第3楽章のトリオなど、こんなに懐かしさを感じさせる曲想だったかと━━。「テ・デウム」の大合唱も、2人の独唱者も、みんなヒューマンな感情に満たされつつ歌っていたように感じられる。

 しかもその一方では、その第3楽章(スケルツォ)の終結でテンポを速めて追いあげて行く呼吸といい、フィナーレ後半でみるみる感情が激して行くかのように昂揚を重ねて行くエネルギーの凄まじさといい、並みのものではない。この「6番」、こんなに迫力のある曲だったかと━━。

 こういう温かさと気魄とを併せ持つ演奏を聴かせてくれる指揮者は、今日、ほかにいるかどうか。その意味でもラドミル・エリシュカは、当節では卓越した存在と言って過言ではない。
 終始立ったままで指揮、その身振りも壮者をしのぐ活発さだ。86歳とは思えぬようなパワーである。事務局から聞いた話では、「テ・デウム」の練習の時など、指示を出すその大声は、轟々と鳴るオケを突き抜けてコーラスにまで届いていたとか。今日のカーテンコールの際にも、ステージの袖から走って登場するといった、すばらしく元気な様子を誇示していた。とてもこれが、高齢の指揮者のお別れ公演には見えない。
 エリシュカが医者から禁じられたのは、演奏活動ではなく、飛行機の長旅だけだそうである。だが彼は、もう一度だけ日本でお別れ公演をしたいという自らの想い止みがたく、指揮回数をある程度制限した上で、今回の「最後の日本客演」を敢行したのだという。

 フェスティバルホールの聴衆は意外におとなしかったが、それでも最後には総立ちの拍手でエリシュカを見送った。どちらかといえば、会場ではオーケストラの楽員よりも客席のほうがエリシュカを惜しんでいたような印象だったが・・・・。
 今週末には札響との演奏会がある。エリシュカとは最も結びつきの強い札響だから、きっと感動的な光景になるのでは。

コメント

初日拝聴しました!

ラドミル・エリシュカさんの日本でのラストアピアランスという事でどうしても拝聴したくて。おそらく、東条先生もいらっしゃるだろうなって思ってました。二日目だったのですね。ドヴォルジャークの郷愁をエリシュカさんは、温かくそして力強く表現してくださったように感じます。これが最後と思うと、じ~んときて泣けてきました。一期一会なんですね。1日目も、エリシュカさんを惜しむ客席からたくさんの拍手とブラヴォーでした。エリシュカさん、感動を有難うございました!そして、お元気で!

今月で来日はお終いとは知りませんでした。高齢とは言え誠に残念!
3年前の秋に読響を指揮した新世界交響曲を初めて聴き、自然と胸が熱く成り涙が滲んできました。終了後他の聴衆からも涙が零れてきたとの声がもれました。
大変感激して、翌年6月のキタラホールに聴きに出かけ、昨年今年と札響の東京公演も聴き、次を楽しみにしていたのですが、残念。もうチェコまで出かけるしかないのですね。
アンコールまで颯爽と指揮される元気そうな姿に安心していましたが。作り物でない長年の指揮者生活から、その人格を感じさる、自然に生まれる音楽を聴かせて頂き、感謝です。
ご自愛とご健康をお祈りします。

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