2021-06

2017・10・19(木)飯森範親指揮東京シティ・フィル

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 飯森範親が客演してのチャイコフスキー・プログラム。「イタリア奇想曲」、「ロココ風の主題による変奏曲」(チェロは岡本侑也)、「交響曲第4番」。コンサートマスターは戸澤哲夫。

 「イタリア奇想曲」では、本来は非常に闊達なはずの曲が、特に前半は何か流れが悪くて重く、パウゼにも生きた緊張が感じられず、ノリが悪かったのは不思議。

 しかし交響曲になると、飯森は予想通り、東京シティ・フィルを思い切り解放的に、ダイナミックなパワーを弾き出して響かせた。シティ・フィルも、いつもとはやや趣を変え、元気いっぱいに鳴り渡った。
 それ自体はいいのだけれど、その一方、しばしば音が濁り気味になり、しかも金管の一部にミスが続出するとあっては、何だか力任せで乱暴な演奏という印象の方が強くなってしまうのである。折角の熱演も、あだ花になるだろう。

 それに、これは意図的なのかどうかわからないが、第1楽章では弦の主題よりも背景を彩る管楽器群の動きが妙に強く演奏されるところが2個所ばかり、目立った。私はもともと、そういう手法は大いに楽しむクチなのだが、ただ今回に限っては、そこの音楽が何とも混沌たる響きしか生まなかったことに、腑に落ちぬものを感じた次第である。

 そんなこともあって、残念ながら私には、今日の演奏は、飯森範親にとっても、シティ・フィルにとっても、必ずしも成功とは思えなかった。今の段階では、このオケには、やはり丁寧に手堅く演奏させる指揮者が合っているのではないかという気がする(その意味では、高関健を常任指揮者に迎えていることは、最良の方法だったと思われる)。

 なお、「ロココ風の主題による変奏曲」では、先頃エリザベート王妃国際コンクールチェロ部門で第2位になり、俄然注目を集め始めた新鋭、岡本侑也の演奏が見事。清澄で端整で気品のあるソロは、とても23歳の若者とは思えぬくらいだ。逆に言えば、その若さでありながら、あまりに整い過ぎた演奏を聴かせる「完成度の高さ」にはやや戸惑いを覚えてしまうし、先日の読響と協演したドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」における「真面目一方」の演奏とも共通する一種の物足りなさを感じてしまうのだが━━しかしいずれにせよ、前途に大きな期待を抱かせる若手であることには、疑う余地はない。
 それにアンコールでは、バッハなどを弾くありきたりのアンコールでなく(バッハの組曲が悪いというのでは毛頭ないが)、ジョヴァンニ・ソッリマの「ラメンタチオ」という、部分的に自らのヴォーカルを交えつつ演奏する傑作な作品を取り上げるあたり、若者らしくて頼もしい。

コメント

常任指揮者

このオケ、来年どうするんだろう。未だに発表はない。延長するのか、客演で回すのか。新なら、名の通った若手がいいが、無理筋か。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2814-9ae74370
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」