2021-06

2017・10・18(水)「リチャード3世」

      東京芸術劇場 プレイハウス  6時30分

 「リチャード1世」を主人公にしたオペラはヘンデルが書いているが、稀代の悪王といわれる(ではないという説もある)リチャード3世を主人公にしたオペラなんてあるのかしら? 少なくとも「VIKING OPERA GUIDE」には載っていないようで。

 然り、これはシェイクスピアの有名な戯曲の方で、木下順二翻訳台本に基づく日本語上演である。今回はシルヴィウ・プルカレーテによる台本が使用され、彼自身の演出により上演されている。舞台美術と衣装はドラゴッシュ・ブハジャール、音楽がヴァシル・シリー。
 今月30日まで東京芸術劇場で、そのあと大阪、盛岡、名古屋でも上演されるとのこと。前日のプレビュー公演を経て、今日が初日だった。

 キャストはすべて日本人。リチャード3世を佐々木蔵之介が演じ、妻アンを手塚とおる、ヘンリー6世夫人マーガレットを今井朋彦、エドワード4世夫人エリザベスを植本純米、クラレンス公を長谷川朝晴、バッキンガム公を山中崇、ほか・・・・と、つまりオールメール━━男が女の役もやる、という例のスタイルだ。紅一点として、「代書人」という「陰の切り回し役」に渡辺美佐子が出演している。

 佐々木蔵之介はTVドラマでおなじみの人だから、彼がこういう物々しい悪役をどのように演じるか大いに興味があったが、この舞台では、ごく普通の青年がいつの間にか「王」になっているという感で、つまり抜きん出た存在にはなっていないところが、物足りないというか、何というか・・・・。
 それが演出の狙いだというなら、この「リチャード3世」は、かなり軽いものに感じられるのだが、このへん、演劇批評は私の及ぶところではないから、やめておく。

 シェイクスピアによる台詞をほぼそのままに、シチュエーションを全く変えると、オペラの読み替えと同じように、舞台は16世紀のイングランドから離れて、現代風になる。
 歌とダンスも入る。冒頭のリチャードのモノローグ「漸く不愉快な冬が去り、ヨークの太陽に輝く夏が来た・・・・」の場面や、終り近く亡霊たちが彼を脅かす場面では、ミュージカルのような趣になる。それはそれで面白い。

 リチャードが王位に就いてから以降は次第に彼のモノローグが中心になるのは、彼の「孤独」を表わすためだろうか。ただ、そのあたりからは少し台詞が聴き取りにくくなるのは、PAの使い方の問題か。そしてまた、舞台に少し緊張感が希薄になって来る。
 有名な「馬を持って来た者には王国をやるぞ!」の場面は、戦闘シーンが全くないので、すべてリチャードのモノローグの中に含まれるのだが、彼がいきなり剣を片手に「馬を・・・・馬を・・・・」と言いはじめるあたりはあまりに唐突だし、言葉もはっきりしないので最初は何を言っているのか判らなかったが、「王国なんかくれてやる」という言葉が入って、初めて例の名セリフの場面に入っているのかと理解できた次第だ。映画のローレンス・オリヴィエのような大芝居ではなく、演出もあまりそこには重きを置いていないのかもしれない。
 リチャードがピストルを頭に擬したところで幕が下り、暗黒の中で銃声が聞こえて終りとなる。
 休憩15分程度を挟み、9時15分終演。

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