2021-06

2017・10・3(火)ペトル・アルトリヒテル指揮チェコ・フィル

       サントリーホール  7時

 名門チェコ・フィル、来日公演(全7回)の今日は3日目。
 ドヴォルジャークの序曲「謝肉祭」と「チェロ協奏曲」(ソロはジャン=ギアン・ケラス)、ブラームスの「交響曲第4番」というプログラム。
 アンコール曲は、ケラスがデュティユーの「ザッハの名による3つのストローフェ」第1曲、オーケストラのほうは、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲」作品72の「第7番」と「第8番」だった。

 首席指揮者ビエロフラーヴェクが惜しくも亡くなってしまったので、モラヴィア出身の指揮者ペトル・アルトリヒテル(アルトリフテル、では?)が代わって帯同来日している。 
 ステージ上での、チェコ・フィルに対する彼の態度は如何にも謙虚そのもので、「私は代役。このオーケストラの素晴らしさにどうぞ拍手を」と言わんばかりに(これを口にしたら雰囲気はぶち壊しになってしまう)自分は中央から一歩退いて、聴衆の称賛を楽団に向けさせる、といった具合。その一方、今年3月にプラハ響と来日した時と同じように、彼の指揮台上での指揮姿は、すこぶる賑やかで、力感に富む。もう結構な年齢(66歳)なのに、足を踏み鳴らしたり、交錯させたり(これは一風変わった仕種である)。

 つくり出す音楽は、何か八方破れという雰囲気はあるものの、素朴で実直な情熱を感じさせる。確かに、ブラームスの「4番」の終楽章後半の追い上げなど、これほど煽り立てた演奏は、滅多に聴いたことがないほどである。
 ただ、もともと細かい仕上げにはこだわらないのか、あるいは今回は練習時間が充分でなかったのか、たとえばホルンとファゴットのバランスなど、少々腑に落ちぬところもあって、全体に何となく落ち着かないブラームスになっていたことは事実だ。ブラームスの晩年の滋味を、壮年の意気に置き換えた「4番」とでもいうか。

 そこへ行くと、ドヴォルジャークの作品の方が、演奏はやはりサマになっている。こういう曲はチェコ・フィルなら目をつぶっていても演奏できるはずだから、と言ってしまえばそれまでだが、それにしてもあのプラハ響との「わが祖国」と同様、アルトリフテルという人はやはり「チェコもの」で最大の強みを発揮する人のようである。
 「チェロ協奏曲」では、その素朴な表情の音楽と、ケラスの洗練された感性の音楽とが色合いを異にしていたが、これはこれで、別の面白さがあった。

 有名な「チェコ・フィルの弦」は今なお健在。チェコの指揮者が振ると、ここのオケの弦はいっそう瑞々しくなる

コメント

ブラームス(1833-1897)が、交響曲第4番を作曲したのは1884-5年。52歳のときです。昔と今では感覚が違うかも知れないが、今の東条様よりは相当に若い年齢の曲です。
その意味で、「晩年の滋味」というのは、やや固定観念かも知れません。
ちなみに、チョン・ミュンフンがチェコフィルを指揮したブラ4のCDも、前のめりな激情型でしたので、あるいは、チェコフィルのスタイルなのか。
あるいは、バーンスタインは、ブラ4の第4楽章冒頭を、ブラームスのうっ屈した怒りの表現とアナリーゼしてみせましたので、いろいろな表現があってよいのでしょう。当夜の公演が、東条様のお眼鏡にかなう領域に達していたかはともかくとして。

チェコ音楽の呼吸

今ちょうど4日の公演を聴いてきたところです。チェコ音楽の「呼吸」に酔いしれました。ああ、こんなふうに弾くんだと。
このオケは、50年前、東京厚生年金会館で、ノイマンの指揮で聴いて以来、大好きなオケです。東条先生言われるように、ヨーロッパ第1級の実力は健在です。

外国語の仮名表記は自由ですが

アルトリヒテルはAltrichterと綴るようです、chは無声音でしょうからヒと書こうがフと書こうが趣味の問題ですが、直前の母音に引張られてアルトリヒテルと書く方が、普遍的(他の綴りとも整合する)とは思います。かのスヴャトスラフ・リヒテルもカール・リヒターもRichterですね。

渾身の来日公演

大阪のザ・シンフォニーチホールで拝聴しました。千秋楽のプログラムはドヴォルジャークの序曲「謝肉祭」と「新世界より」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ピアノはアリス=紗良・オットさん、でした。「新世界より」では、泣けてきて。チェコフィルの弦は心にしみます。ただ、フライング気味の拍手とブラヴォーが残念でした。もう少し余韻を味わっていたかったです。ピアノのアリス=紗良・オットさんも好演でした。丁寧なお辞儀にも拍手です。ビエロフラーヴェクさんからバトンを渡されたチェコフィルの渾身の来日公演を私は忘れない。

小生も大阪で聴きました。

この三連休、関西に滞在しておりまして、小生もザ・シンフォニーホールで拝聴しました。いやぁ、よかったですね、ルツェルン祝祭管(サントリー)、ロンドン・フィル(フェスティバル)、チェコ・フィルと一流オケの実演に三日連続で接するという豪華な休日になったのですが、一番しみじみとした味わいというか、変わらない個性のようなものを感じさせてくれたのはチェコ・フィルだったように思います。管も美しい演奏を聴かせてくれましたが、やはり何と言っても、あの独特な弦の音色にしびれました(チェロのパートソロがなんと美しくホール内に響いたことか)。最後に、聴衆の拍手を抑え、「イン メモリー オブ イルジー・ビエロフラーヴェク」と指揮者が述べてから始めたアンコールも心に響くものでした。
話は変わりますが、ザ・シンフォニーホールが開館35周年を迎えたのですね。経営元が変わるとき、どのような運営となるか一抹の不安を感じたことを思い出しますが、日本を代表するクラシック音楽専用ホールとして、依然、素晴らしい存在感を発揮されていることに祝意と敬意を表します。

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