2021-06

2017・9・23(土)ヘルマン・ボイマー指揮東京交響楽団

      ミューザ川崎シンフォニーホール  2時

 東京響の「名曲全集」のシリーズ。ドイツの指揮者ヘルマン・ボイマーの客演指揮。
 ドヴォルジャークの「新世界交響曲」、ドイツの現代作曲家ヴォルフ・ケルシェック(1969年生)の「ラッパ達が鳴り響く」、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という順序でプログラムが組まれている。コンサートマスターは水谷晃。

 ボイマーという人の指揮を聴くのは、2014年10月、新日本フィル及び五嶋みどりと協演したバッハ、シュニトケ、ベルクなどの協奏曲の夕べ以来、2度目になる。客席から見る姿は、いかにも精魂込めた指揮ぶりだ。
 「新世界交響曲」では、普通なら弦の背後に隠れる木管群を浮き立たせ、ちょっと珍しい響きを狙うあたりは印象に残ったが、概して野暮ったいほど素朴で率直な表現を採る人である。だが、この曲の場合は、それはそれでサマになるだろう。
 面白さから言えば、やはりプログラム後半に演奏されたケルシェックの作品の方だ。このような金管楽器のための作品となると、何よりもボイマー自身がベルリン・フィルのバス・トロンボーン奏者でもあったというセンスが生きるのかもしれない。

 そのケルシェックの「ラッパ達が鳴り響く」(The Trumpets Shall Sound)は、これが日本初演とのこと。
 作曲者はハンブルク音大教授で、ミックス・ジャンルの作曲でも活躍している人の由だが、なるほどこの曲(26分程度)でも、クラシック・スタイルの中にジャズ、ブルース、バラード、シンフォニックな映画音楽、マーチ、ボレロ、ワルツの要素など、何でもありといった多彩なスタイルを取り入れている。

 客席には、金管奏者たちが3人ずつ組になって位置する。このバンダは、威勢のいいファンファーレを響かせたりせずに、柔らかい音色を響かせることが多い。それらがオーケストラのマーチ風の小太鼓のリズムに呼応、あるいはミステリアスなハーモニーに呼応して響くというのが、面白い。ちょっとキワモノ的な雰囲気もなくはないが、エンターテインメントの要素をも備えた、まずは楽しめる作品である。

 ステージの上には、ソリストとして名トランペット奏者マティアス・ヘフスが立ち、さまざまな楽器を駆使して見事な名人芸を披露する。彼はアンコールとして、トランペット奏者たち12人とともに、D・L・ホートンの「6本のトランペットのための組曲」の1節を演奏し、これも上階席からのブラヴォーの声を呼び起こした。

 ここまでは、かなり盛り上がった。だがそのせいか、最後のヤナーチェクの名曲「シンフォニエッタ」が、演奏の上でも少々付け足しのような雰囲気になってしまったのが皮肉である。ステージ上手寄り後方に並んだ金管のバンダの中には、マティアス・ヘフスも加わっていたが、オーケストラもろとも、どういうわけかさほど盛り上がらず、通常のように華麗なクライマックスを築くことなく、あっさりと終ってしまった(というように感じられた)。
 選曲と配列においては、それほど悪いアイディアとは思えなかったのだが━━。

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