2017-10

2017・9・15(金)佐渡裕指揮PAC 「トゥーランガリラ交響曲」

       兵庫県立芸術文化センター  3時

 兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の秋のシーズン開幕定期演奏会、3日公演のうちの初日。メシアンの大作「トゥーランガリラ交響曲」(作曲者の指示によれば「トゥランガリ―ラー」)が、芸術監督・佐渡裕の指揮で演奏された。
 協演のピアノはロジェ・ムラロ、オンド・マルトノは原田節。

 このオーケストラは楽団員の任期に期限がある(つまりオーケストラの楽員を次から次へと育て、送り出して行く)という特別な組織の楽団なので、特にこのような作品の場合、演奏するのが初めてというメンバーが大半だという。今回は編成が大きいので、ケルン放送響やバイエルン放送響などを含む国内外のオーケストラからの応援を得ているが、それでもこの曲の演奏経験を持つ人はあまりいなかったそうだ。

 そういうオーケストラではあったが、佐渡裕はそれを実に巧くまとめていた。技術的にもしっかりしたメンバーが揃っているので、壮烈な力感にも、打楽器群と他の楽器群との微妙な音の交錯にも事欠かない。少なくとも、物理的な音響の面では、見事な演奏だったと言っていいだろう。
 この上に欲しいもの━━本当はそれが最も重要なものなのだが━━といえば、その豪壮華麗な音の渦の中に湛えられるべき詩情、官能、洒脱で洗練されたセンスといった要素だろうが、これらは経験を積んだ固定メンバーによるオーケストラでなければ出せないものだ。まして今日は初日、意に満たないところもあっただろうし、足りないことについて論うのは無意味というものであろう。もしかしたら、3日目には「突き抜けた」演奏になっているかもしれない。

 今日は1階席P列ほぼ中央で聴いたが、ホールのアコースティックの所為もあるのだろうが、舞台前面に配置されたピアノとオンド・マルトノはもちろん、チェレスタなどの楽器の音まで明確に聞こえたのは有難かった。
 この曲、サントリーホールの2階席などで聴いた時には、オーケストラの音がワンワン響いて、ピアノもオンド・マルトノもそれにマスクされてしまうことも、一度ならずあったのである。
 今日のソリスト2人の、豊かな演奏経験に基づく快演は、流石というべきものであった。「トゥーランガリラ」の終了後、ムラロと原田が短いアンコール(メシアンの「未完の音楽帖 オンド・マルトノとピアノのための4つの小品第1曲」)を弾いたが、これもなかなか美しいものであった。

 佐渡が行なったプレトークで、原田がステージに招かれ、オンド・マルトノの楽器について解説したのは、珍しい楽器であるために、お客さんには喜ばれたようである。ただし彼の説明が微に入り細に亘って延々と続いたため、一瞬の隙をついて佐渡が「解りましたッ」と締めに入った時には客席も爆笑。こういうプレトークも愉しい。
 なお、開演前にはホワイエで、この芸術文化センターの開館以来の入場者が600万名に達したというので、その600万人目の客への表彰が行われた。地元の男性とのことである。金管奏者たちがファンファーレを吹き、くす玉が割られ、佐渡が挨拶するという派手なセレモニーだった。「600万人目」ということをどうやって数えたのかは知らないけれども、めでたいことではある。

コメント

9/17日最終日を聞きました。先年の井上/大フィル、昨年の高関/京響を聞いたが今回それとはかなり違った印象でした。ホールが大きいので編成も大きい(120名位)こともあり5楽章と最終楽章の終結部は想像もできないぐらいの巨大な音の広がりで見事でした。
いつもより曲が長く感じたのと抒情的なところが少し乾いた音でこれはオケのせいなのかホールのせいなのか不明ですが。小澤さんが日本初演したころは難解と思っていたがついにこの曲、名曲に定着したようです。
台風の中、佐渡さんはキッズオケを率いて和歌山に行かれるとのこと無事を祈りたい。

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