2021-06

2017・9・11(月)大野和士指揮東京都交響楽団 ハイドン:「天地創造」

     サントリーホール  7時

 よく知られているけれどもそれほどしばしば演奏されるわけでもないハイドンの大曲「天地創造」が、珍しく、ほとんど間をおかずに高関健と東京シティ・フィル、大野和士指揮東京都響のそれぞれの演奏で競演された。こういう「かち合い」は、示し合わせたわけでもないのに、不思議によく起こるものである。
 前者(8日)は、私は松本へ行っていたため残念ながら聴けなかったが、聴いた人の話によると、非常に良い演奏だったという。

 今日の大野&都響の公演の方は、合唱にスウェーデン放送合唱団(指揮:ペーター・ダイクストラ)が協演したのが、より強みであったろう。この合唱団の透明で澄んだ音色は世界のトップクラスにあるが、あまり多くない人数にもかかわらず、その安定したハーモニーはオーケストラの間を縫って響いて来て、「天地創造」をいっそう美しく聴かせてくれたのだった。

 今回はピーター・ブラウン校訂による「オックスフォード版」が使用されたとのことだが、編成が大きくなく(2管)、オーケストラが厚い音にならなかったため、スウェーデン放送合唱団の音色も損なわれずによく生かされた、とも言えるだろう。
 大野和士は、この曲に含まれている描写音楽的なシャレをよく生かし、しかも過度に劇的な誇張を入れることなく、「オーケストラの編成に相応しいスケール」で柔らかく作品を描き切った。

 冒頭の「天地混沌」の場面があまりに遅いテンポで重々しく演奏されたため、「混沌」よりは「無」というイメージを生み、しかも緊張感に些か不足し、それがディートリヒ・ヘンシェル(バス)のソロにも影響するという感もあったが、幸いにもそのあとは徐々に盛り上がって行った。大野の狙いはおそらく、長いスパンでこの曲を頂点へ持って行く、というところにあったのかもしれない。
 全曲最後の大クライマックスでのアレグロは素晴らしく速いテンポで━━ソロ歌手たち(ほかにソプラノの林正子と、テノールの吉田浩之)や合唱団がよく歌えたなと感心したが、高い個所では音を切って歌っていた人もいたようだから━━目覚ましい頂点を築いた。
 コンサートマスターは矢部達哉。
      →別項 モーストリ・クラシック12月号 公演Reviews

コメント

パパハイドンの賢者の音楽ともいうべき、オラトリオを楽しくかつ気持ちよく聴けました。
合唱はバランス良く澄明かつ楽曲の内容に沿って流石に素晴らしく、大野氏の指揮も安心して軽く指示を出して支える風情でした。
3人の歌手とも歌詞が明瞭で、また最後アダムとイブは視線を交わして、気持ちよく歌っているのが印象に残りました。

帰途余韻が心地良い良いコンサートでした。

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