2021-06

2017・9・9(土)山田和樹指揮日本フィルハーモニー交響楽団

      サントリーホール  4時

 日本フィルの新シーズン開幕第1弾定期演奏会は、正指揮者・山田和樹の指揮。
 ボリス・ブラッハーの「パガニーニの主題による変奏曲」、石井真木の「遭遇Ⅱ番」(協演の雅楽は東京楽所)、イベールの「寄港地」、ドビュッシーの「海」という、極めて意欲的な、新鮮な息吹にあふれた、しかも巧みな構成のプログラムであった。

 ブラッハーのこの曲など、こんな機会でなければ、まずナマで聴けることはないかもしれない。パガニーニの、あの有名な奇想曲の主題が、ソロ・ヴァイオリン(コンサートマスターの扇谷泰朋)によりほぼオリジナルの形で弾かれたかと思うと、分厚い響きのオーケストラが後を引き取って16の変奏を開始する。
 昔レコードで聴いた時にはあまり面白い曲だとは思わなかったが、━━まあ、正直なところ、今回もあまり面白い曲だとも思えなかったが━━次の石井真木の作品への導入のような形で聴けたのは、千載一遇の好機ではあった。

 そのブラッハーの弟子たる石井真木の「遭遇Ⅱ」は、1971年6月に「日本フィルシリーズ」第23回作品としてこのオケが初演した縁のある曲である。今日は東京楽所の10人のメンバーによる雅楽の演奏で始まるヴァージョンが取り上げられた(昨日は別ヴァージョンで演奏されたという話である)。
 この雅楽とオーケストラとの「遭遇」は、今聴いても、すこぶる新鮮に感じられる。初演の際には、私は聴いていない。
 石井真木の豪壮な管弦楽法も、師ブラッハーの作品と並べて聴くと、その由って来たる所以がいっそう理解できるというものだ。こういうプログラミングはいい。日本フィルの企画スタッフと山田和樹のアイディアを讃えたい。

 後半に演奏されたイベールとドビュッシーの作品━━これらでの山田和樹と日本フィルの演奏は、見事の一語に尽きる。山田和樹には、フランスものはやはり合っているようである。
 「海」の頂点などでは、かなり開放的に最強音を響かせる。それが必ずしも清澄な音色でないところは今の日本フィルの限界なのかもしれないが、しかしもしこの両者がたっぷり時間を取って音を練り上げて行けば、改善される可能性は充分にあるはずである。色彩感、しなやかさ、詩情といったものは、すでにこの演奏には備わっていたのだから。

 それになにより今日は、特にフランスもの2曲において、日本フィルの弦も管も快調だった。
 とりわけオーボエの1番(杉原由希子)の音色とエスプレッシーヴォの見事さは、国内の他のオケでも滅多に聴けないほどのものだろう。彼女のソロが、イベールの「寄港地」第2曲の「チュニス━━ナフタ」を素晴らしく魅力的に聴かせてくれたのである。
      →別項 モーストリー・クラシック12月号 公演Reviews

コメント

石井真木の曲は今聴くと当時の現代音楽の熱気がどんなものか、推測される、10人程の雅楽とダイオケーストラを対峙させるのは無理があると思いました。
とは言え昨年に続き山田和樹の取組に敬意を払いたい。
フランス物いいですね。イベール初めてながら、ひと時の地中海旅情を味わえました。
カンブルランと共に期待したい。

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