2017-08

2017・8・5(土)ザルツブルク音楽祭(2)モーツァルト・マチネー

      モーツァルテウム大ホール  11時
 
 お馴染みモーツァルト・マチネーの一環で、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団が出演、指揮はジョヴァンニ・アントニーニ、ゲスト・ソリストはクリスティアン・ベズイデンホウトという面白い顔ぶれである。
 プログラムは、モーツァルトの「交響曲第29番イ長調」と「ピアノ協奏曲第24番ハ短調」、後半がシューベルトの「交響曲第4番《悲劇的》」というもの。アントニーニがモーツァルトやシューベルトを指揮するのはナマではなかなか聴ける機会が無いので、これは楽しみにしていた。

 アントニーニは、この系統のレパートリーにおいても、非常に強烈なデュナミークを多用する。そのフォルティシモは、1階席の、のんびり聞いていたらしい1人の高齢の女性を一瞬飛び上がらせたほど、激しい。叩きつける最強音と、歯切れのいい明晰な響きが際立つ。もちろん、弦はノン・ヴィブラート奏法だが、金管には特にピリオド楽器は使われていなかったようである。

 冒頭の「イ長調」の出だしでは、アンサンブルもアタックも何故か粗くてガタピシしていたのには冷や冷やさせられたが、どうやらこれは呼吸が合わなかった所為らしい。提示部がリピートに入ったところから、俄然、音楽が引き締まって来た。
 とにかく、これだけ鋭角的なサウンドで再現された「第29番」も、珍しいだろう。反復個所は忠実に守られているので、演奏時間も長くなる。

 これらは、後半でのシューベルトの「悲劇的」でも同様だ。全曲にわたり強弱の対比が激烈に強調されるため、この曲が、これまで聴いたことのないほど荒々しい劇的な様相を帯びる。特に第4楽章など、こんなに牙をむいたようなシューベルトは、恐怖感さえ覚えさせるではないか。
 ユニークなアプローチもあるものだ、と感心する。聴き慣れた作品からこういう新しい側面を出してくれる演奏にぶつかると、聴きに来てよかった、と心から思うものだ。

 協奏曲では、ベズイデンホウトが、珍しくモダン・ピアノで弾いた。これがまた面白い。何しろこの曲でも、アントニーニが、緩やかではあるがしばしば戦闘的に仕掛けるのに対し、その音楽をベズイデンホウトが、我が道を往く、とばかりに落ち着きはらって悠然と受ける、という対照を生むからである。彼のピアノでうっとりさせられるような美しさを感じたのは、やはり第2楽章であった。

 このモーツァルテウム大ホールの2階席は、換気が悪い。休憩や終演になってドアが開け放たれると、外の空気が流れ込んで来て、ほっとさせられる。とはいえ、街はまだ暑い。

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