2017-08

2017・7・28(金)エリアフ・インバル指揮大阪フィル マーラー「6番」

     フェスティバルホール(大阪) 7時

 エリアフ・インバルが客演。大阪フィルへは、昨年のマーラーの「第5交響曲」他を振って以来、2度目。今回は「第6交響曲《悲劇的》」1曲のみ。今日は2日目。

 インバルは今回、第1楽章と第2楽章(スケルツォ)の間、第3楽章(アンダンテ)と第4楽章の間とを、それぞれアタッカ同様の形で指揮した。オーケストラも大変だったろう。

 2日目だったせいなのか、あるいは、まだそれほど馴染みのない大阪フィルとの仕事だった所為なのかは定かでないが、今日の「6番」は、インバルの指揮するマーラーとしては、不思議なほど力任せにエネルギーを解放した演奏に感じられた。金管も打楽器も、鳴らすこと、鳴らすこと。
 特に第4楽章は怒号咆哮の連続で、もともと凶暴な性格を持ったこの楽章が、いっそう凶暴さを増して聞こえたのである。

 都響を振った時のインバルは、たとえ全管弦楽を怒号させた時でも、決して厳しい構築を崩さない指揮者だった。聴き手に息苦さを感じさせるほど、引き締めた演奏になる。同じ凶暴さでも、厳然たる強面の凶暴さ(?)という印象があった。それが近年のインバルのマーラーだと受け止めていたのだが━━。

 組む相手のオーケストラによって意図的にアプローチを変える人とも思えないから、やはりこれは、気心知れた都響と、客演僅か2度目の大フィル相手の呼吸の違いから生まれたものだろう。
 もちろん今回の演奏も、歯止めの利かない暴発といったものではなく、インバルらしい制御を随所に利かせ、均衡を保持した演奏だったのは事実である。第3楽章での起伏の大きな、しかし情感に溺れぬ叙情美など、インバルならではのものがあった。

 そして大阪フィル(コンサートマスター崔文洙)は、このオーケストラらしいパワーを全開してインバルの指揮に応じていた。かなり荒っぽいところも多かったけれど、それは特に非難されるべき質のものでもないだろう。昔、朝比奈時代には、東京のファンからは「野武士の如く豪快な荒々しい迫力」と言われ、それが人気だったことさえあるくらいだ。
 管のソロも概して好調、打楽器陣も活躍。

 第4楽章でのハンマー(2回)は女性奏者が受け持っていたが、このハンマーは意外に小型のもので、残念ながら「たかだかと振りかぶり、風を切って打ち下ろす」(アルマ・マーラー回想録)という光景にはならなかった。ただ、小さいせいか、音は所謂「鈍い威圧的な衝撃音」ではなく、軽いバチンという音にとどまっていたのには、少々拍子抜け。インバルの好みではないだろう。以前の演奏ではもっと重々しい音を出させていたから。

 開演前には毎回、ホワイエで、大阪フィルの福山修氏(事務局次長兼演奏事業部長)のプレトークが行われている。マイクは使っているがPAの音量が非常に小さい上に、離れたエスカレーターの近くで場内案内をする男のレセプショニストの不必要なほどの大きな声がこだまして響いて来るため、演壇の周囲の数十人にしか聞こえない。だが始まる前から既に人が集まっている。今日はいつもより多く、100人近くが集まっていた。
 話のあとで質問を受け付けるやり方だが、質問をぶつける人の多いこと、活発なこと。東京では、こんなに反応が返ってくることはあまりない。福山さんも「関西ではこうなんですよ」と言っていた。羨ましい参加意識だ。
    別稿 モーストリー・クラシック10月号 公演Reviews

コメント

大昔、朝比奈/大フィルの5.6番聞いているが当時のこちらの理解度も不足していることもあり他の曲にくらべて(3.7.9は名演だった)記憶が定かでない。バルビローリのごとく遅いテンポで押し切った演奏だったのだろう。
 7/27日のインバルの第一楽章のテンポは通常の速度だったが冒頭のコントラバスの剛直な響きがこの演奏の方向性を示していた。特に4楽章冒頭のコントラバスとハープの立体的な掛け合いは魅力的で驚きでした。2回のハンマーも2階席後ろで聴いてもよく聞こえていた、女性奏者に拍手。大フィルマーラー6番を満喫した一夜でした。来年も来阪されて7.10番期待したい。

東條さんのインバル評は、いつも我が意を得たりです。
私は27,28の両日行きました。いくつか私見です。
■コンサートプログラム
→必要にして十分です。曲目解説が素晴らしいから(笑)だと思います。
■福山修氏(事務局次長兼演奏事業部長)のプレトーク
→これは東京のオケでもやって欲しい、大フィルの楽しみの一つです。
■崔文洙コンマス
→今回一番の収穫。インバルとの組み合わせはまた聞きたい。
■アタッカ
→アタッカでどんどん進む時のインバルに外れは無いと私は思ってますが
 今回のインバルも、1楽章が終わった瞬間に
 「次にすぐいくよ」というような表情でオケを待ち受けていて
 既に名演の予感がしていました。
■緩徐楽章
→昔、アダージョ・カラヤンというアルバムがありましたが、
 アダージョ・インバルというアルバムを作って欲しいくらいです。
 インバルの素晴らしさは緩徐楽章にあると今回改めて痛感しました。
 昔、マーラーの大家「アンリ・ルイ・ド・ラ・グランジュ」が
 インバルの指揮する4番のアダージョには偉大な激しさがある
 と語っていましたが、
 インバルの指揮する6番のアンダンテの素晴らしいこと!
 いつも早いテンポで進めていきますが
 絹のような弦、ホルン。クライマックスの激しさ。
 今回のアンダンテは、30年聞いてきたインバルの緩徐楽章の中でも
 最も素晴らしいもののように感じました。
 これでノイネッカー様のホルンがあれば・・・
 なんてことは決して思わないようにします。
■最後に、大フィルに定期的に来て欲しいと切望します。
 
  

福本修氏のプレトーク初参加しましたがその時、ハンマーのことで質問があり前回の大植氏の時に(2度)ステマネ氏によりつくられたもので下の板は表裏入れ変え可能とのこと。
質問は団員の給料や学閥の有無など多岐にわたり私はプログラムを見ていなかったので2.3楽章の順番を質問したのでした。どちらかといえば2楽章にアンダンテが入るほうがすわりがいいかなと思います。2004年にミュンヘンで聴いたアダム、フィッシャー/バイエルン響ではたしかハンマーのいちは舞台の前に(指揮者の後)置かれていました。その時より今回のほうが、良い6番でしたよ。

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