2024-03

2017・7・9(日)広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団

      東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 コンサートを聴きに行くのも億劫になるくらいの壮烈な猛暑。着いた時には、暑さのために、既に眠気に襲われていて━━。

 だが広上淳一の指揮はやはり魔術的で、モーツァルトの「魔笛」序曲の最初の和音が響きはじめた途端、その豊かな拡がりと深みを感じさせる濃密な音の素晴らしさに、眠気もいっぺんに吹き飛んでしまう。
 今日は、そのあとのラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」でも、第2部でのR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」でも、広上は日本フィルから、極めてブリリアントな音を引き出していた。

 特に「ツァラトゥストラ」など、かつての佳き時代の英デッカの録音で捉えられたオーケストラのそれにも似た、きらきらと光り輝く音色が随所にちりばめられた━━私にはそのように感じられた演奏だったのである。日本フィルがこんな音を出したのは、珍しい。
 終演後の楽屋で、マエストロ広上に「いい音を出しましたね」と称賛したら、「このオケ、いいね。このところ大曲の演奏ばかり続いて疲れてるはずなのに、ここまでやるんだからね」と、日本フィルを絶賛。要するに、両者ともに素晴らしいということになる。

 ただ、どういうわけか今日の演奏には、出だしのアインザッツが合わぬところが、一度ならずも二度三度、やたら多かったのには、首をひねらされた。日本フィルが広上の指揮に慣れていないはずもないだろうし、しかも今日は定期の「2日目」なのに、である。
 一方、各パートのソロは、いずれも快調であった。コンサートマスターは千葉清加。

 ラヴェルを弾いたピアノのゲスト・ソリストは、ジャン=エフラム・バヴゼJean-Efflam BAVOUZETである。彼も実に良いピアニストだ。一つ一つの音に耀きがあって、しかも洗練された個性を持っている。最後の長いソロなど、この上なく華麗で、魅力的であった。ソロ・アンコールでのドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」や、ピエルネの「演奏会用練習曲 作品13」も、さすがお見事。
 シンフォニー・コンサートにゲストで出るソリストがソロ・アンコールを延々とやることには、私は反対論者なのだが、今日は全体のプログラムが短めだったこともあるし、こういう演奏をする人なら、フランスものであれば更に1、2曲ほどやってくれても構わないのに、と思ったほどである。

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