2017-11

2017・6・23(金)ロジェ・ムラロ・ピアノ・リサイタル

    トッパンホール  7時

 フランスのピアニスト、ムラロのリサイタル。
 プログラムは、シューマンの「森の情景」、メシアン~ムラロの「エローに棲まうムシクイたち」、ワーグナー~リストの「紡ぎ歌」と「イゾルデの愛の死」、ドビュッシーの「練習曲集」第1集。アンコールにショパンの「夜想曲第20番嬰ハ短調」。

 ムラロらしいユニークな音づくりで、彼の感性にかかると、シューマンもワーグナーも現代音楽のような趣になる。
 ドビュッシーの「練習曲」は、もともと既に19世紀の枠から飛び出したような音楽だから、ムラロの表現主義的な演奏(誤解を恐れずに言えば、だが)で聴くと、いっそう面白い。
 しかも、「トリスタン」の音楽にある未来派的な特性が、リストの豪放な編曲を通じて表現主義に足を踏み入れたような姿で立ち現れ、それが荒々しい音響のドビュッシーの「練習曲」に繋がって行く、というコンサートの流れも興味深い。

 ムラロの激烈な演奏が、その流れをいっそう強く印象づける。そうしたプログラミングと演奏の組み合わせの巧みさが、ムラロの真髄というべきものだろう。

 なお、メシアンの「エローに棲まうムシクイたち」は、彼が1962年に初来日(小澤征爾とN響の「トゥーランガリラ交響曲」日本初演の時だろう)した時まで書きかけていて、その後未完に終ったピアノ協奏曲のピアノ・パートを、ムラロ自身が編纂した作品とのことである。この日の演奏が世界初演になるとか。
 カデンツァ風の激しい動きを伴う曲だが、今日のムラロの演奏の中では、これが最も無限の拡がりを感じさせ、印象に残るものとなった。

 それにしても、ムラロが演奏した「練習曲集」での荒々しい音響は、このホールには納まりきれぬほどだ。彼だけでなくこのホールで聴くピアニストの音は、みんなこうなる。トッパンホールは素晴らしい会場なのだが、このピアノの大音響だけは・・・・どうも苦手だ。

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