2017-11

2017・6・22(木)飯森範親指揮山形交響楽団 東京公演

     東京オペラシティ コンサートホール  7時

 山響恒例の、おなじみ「さくらんぼコンサート」、ほぼ満席に近い盛況。
 今日は、音楽監督・飯森範親の指揮で、サリエリの歌劇「ファルスタッフ」序曲、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番《皇帝》」(ソロは横山幸雄)、モーツァルトの「交響曲第40番」。アンコールはモーツァルトの「交響曲第31番《パリ》」終楽章。コンサートマスターは高橋和貴。

 先日オクタヴィア・レコードから出た飯森&山響のモーツァルト交響曲全集CDが予想を上回る見事な出来だったので(13枚組の大部とあって、未だ半分しか聴けていないのだが)、ナマ演奏では如何と期待していたのが、この「40番」。
 これも、予想をはるかに超える充実の演奏だった。アタックとアクセントが強く、鋭角的な構築で、この曲のもつ厳しい表情を浮き彫りにする。

 全集CDに入っている「40番」と違い、今回使用した楽譜は、クラリネットを加えた版である。だが、響きはまろやかになるどころか、むしろ良い意味での鋭さを増していたようだ━━山形テルサでの録音による「40番」はエコー成分が豊かであり、また弦楽器群が大編成並みに分厚く前面に出たバランスで響いているので、どちらかというと温厚な、落ち着いたクラシカルな演奏に感じられるのである。

 それに比べ、今夜聴いたナマの演奏では、管楽器群がより明晰に響き、特にナチュラル・ホルンの鋭いアタックが、アンサンブル全体を威嚇し支配するかのような強い存在感を示しているので、演奏全体が鋭角的になっていたのだ。私としてはこちらの方が先鋭的に感じられて、好みに合う。特に前半2楽章は隙のない、優れた演奏であった。

 反復個所をすべて忠実に履行しているので、演奏時間も長くなる。それかあらぬか、第3楽章以降ではその緊迫度がやや薄れたような気がしないでもなかった。特に第4楽章では全体に少しテンションが落ちたようにも感じられたが、こちらの気の所為かもしれない。

 その前に演奏された「皇帝」も、ホルンの独特の音色が目立ち、リズムも明晰なので、オーケストラ・パートもかなり角張って聞こえる。内声部の響きもはっきりしているため、普通の演奏では聞こえないような各パートの交錯が楽しめる。ただこうなると、横山幸雄の力感に富んだオーソドックスなソロとは、必ずしも調和していたとは言い難いような気もするのだが・・・・。

 ところで、サリエリの小品は・・・・。珍しいものを聴かせてもらった、と感謝はするが、作品そのものは、言っちゃ何だが、見事なほどつまらなかった。
 コンサートは、クラリネットを使った「パリ交響曲」の第3楽章が華やかに演奏されて閉じられた。

 プレトークでは、西濱秀樹専務理事・事務局長が飯森範親とともにステージに登場。締め括りに協賛社の名前を「提供クレジット」として口頭で発表するのは、彼の関西フィル事務局長だった時代からの慣行である。

 ホワイエには、CDの即売コーナーだけでなく、例のごとく山形県の物産がずらりと並んで、お米、さくらんぼ、佃煮、豆、菓子など、壮観を極める。その横には「手荷物預かり所」というデスクがあって、お客さんたちが買った土産物の袋を客席内に持ち込まぬためにという、細かい気配りも。
 今年も例年のように抽選で佐藤錦のさくらんぼを贈呈するというシステムになっており、プログラムの最後の方の頁に、モーツァルトの切手のようなシールが張ってあれば当選という形だ。私も入口の「もぎり」のところでプログラムを貰い、知人と話しながら開いて見たら、それが貼ってあったのに仰天。しかしこれは、公明正大に(?)受け取ったもので、あくまで偶然の結果だから、遠慮なく頂戴することにした。ついでに終演後、山形の特産品をいくつか買い込む。山形駅の売店でもなかなか見当たらぬような珍しいものがある。

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東條先生の感想を読ませていただいて、モーツァルトの全集を購入しようかと思いました。西濱さん、山響の事務局長になられていたのですね。かれこれ10年ちょっと前に私の前職時代(サラリーマンなので、以前いた部署ですね)に関西フィルでお世話になりました。ユーモアに溢れていて誠実でとても気持ちよくお仕事させていただいた記憶があります。

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