2017-10

2017・6・14(水)井上道義指揮大阪フィルのマチネ・シンフォニー

      ザ・シンフォニーホール  2時

 これは文化庁関連・芸術文化振興基金の助成事後調査の仕事。コンサートを聴いて、演奏内容はどうだったか、企画の意図は達成されていたか、助成金申請の内容にふさわしいものだったか、予算に合致した内容だったか、客の入りはどのくらいだったか、などについて報告書を書く仕事だ。毎月聴く多くのコンサートの中で、平均4~6公演については、この仕事を兼ねている。

 今日は、「平日午後の名曲セレクション マチネ・シンフォニー」と題されるシリーズの第17回。ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」(ソロはハオチェン・チャン)と、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。コンサートマスターは田野倉雅秋。

 マチネーの名曲だからと言って演奏に手を抜くことをしないのは、立派なものだ。「シェエラザード」では各楽器のソロも安定して、リムスキー=コルサコフの華麗なオーケストレーションを見事に再現していたし、とりわけチェロ・セクション(トップは近藤浩志)の音色の美しさは傑出していた。
 井上道義が多分狙っていたであろう「アラビアン・ナイトの艶麗な世界」が完璧に表出されるところまでは行かなかったかもしれないが、この「シェエラザード」がやはり良く出来た作品であり、リムスキー=コルサコフの「もって行き方」はやはり巧妙である、ということをはっきりと感じさせる井上の指揮と大フィルの演奏であったことは疑いない。

 協奏曲では、井上がすべてをリードしていたという感。どっしりとしたテンポ感で、シンフォニックに押し通す。そのため、ハオチェン・チャンのピアノが、最初は妙に端整で几帳面な雰囲気にとどまり、優等生的なコンチェルトもしくはピアノのオブリガート付きシンフォニーといった感の演奏だったが、第1楽章も展開部あたりからは、やっと闊達なヴィルトゥオーゾ的性格を発揮し始めた。

 井上と大フィルも、いくつかの個所では極度にアジタートにもなり、ソリストも猛然と燃え上がる。それでもやはり全体としては、ハオチェン・チャンは、忠実に、礼儀正しく指揮者に合わせていたような━━という印象は残るだろう。
 この曲で、このくらいオーケストラが大きく聳えまくって(?)いた演奏は初めて聴いたような気がするのだが・・・・。

 チャンは、アンコールでモーツァルトの「ソナタ第10番」の第2楽章を弾いたが、これはなかなか情感のこもった演奏であった。なお、最後に演奏されたオーケストラ側のアンコールの曲は、グリーグの「ペール・ギュント」からの「朝」。これもいい演奏だった。今日の大フィルは、弦をはじめ、音色がいい。

コメント

井上道義、相変わらずの活躍ぶりのようですね。半年くらい前でしょうか、NHK「クラシック音楽館」でショスタコーヴィチの12番等を振っていて、曲の合間のインタビューを見て面白い人だと思いました。シェエラザードは勿論かなり好きな曲なのですが、素人っぽくてすみませんが同じことの繰り返しで千変万化のオーケストレーションと勢いに目くらましされてるだけのような、ほんの少しのネガティブなイメージもぬぐいされない感もあるのですが…

>マチネーの名曲だからと言って演奏に手を抜くことをしないのは、立派
立派でもなんでもない、当たり前のことかと思います
手を抜くような団体があるのでしょうか?
大変恐縮ながら、あまり、好ましいご発言とは受け取れません

あまり様、「手を抜かないのが立派」というのは恐れながら「当たり前のことを当たり前にやるのが立派」というような意味合いだと思いますので、あまり様の考え方に実は近いものだと思いますが。いかがでしょうか。また、オーケストラが指揮者によって、あるいは地方公演のときなどに手を抜く(私個人としては手を抜くというより必ずしも100%のモチベーションではないという方がより適切かとおもいますが)ことはあると、本や雑誌等で見聞きしたことは何度もあります。残念で腹立たしいことですが

定期演奏会といわゆる名曲コンサートでは、力の入れ方が違うのは当たり前と思っていました。某公共放送のオーケストラでは、定期公演ですら、指揮者によってやる気ありなしが露骨に感じられますし。

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