2017-06

2017・5・28(日)オッフェンバック:オペラ「ラインの妖精」

     新国立劇場中劇場  3時

 「ラインの黄金」のあとは、今度は「ラインの妖精」と来た。━━こちらは「天国と地獄」の作曲者ジャック・オッフェンバックが1864年に初演したシリアスなオペラで、埋もれたオペラを蘇演することで有名な「東京オペラ・プロデュース」が、第100回定期公演として取り上げたもの。今回が日本初演の由。
 ダブルキャスト2回公演で、今日は2日目である。オリジナルのドイツ語上演で、日本語字幕(増田恵子)付。

 とにかく、珍しいオペラをやってくれたものだ。その意欲的な姿勢は高く評価されてしかるべきである。
 ストーリーは、ライン河に住む妖精たちが、侵入して来た敵軍から母娘たちを護るというような主旨だが、その敵軍の将が娘の実父だったり、娘の恋人が記憶を喪失して敵軍に加わっていたり、あれこれ入り組んだエピソードが織り込まれている。

 演奏時間は正味3時間15分ほどか。
 台本が著しく冗長で、話の進み方がおそろしく遅くて、しかもくどいのが欠点だが、音楽は結構美しく、特にのちの作品「ホフマン物語」で有名になった「舟唄」の旋律が、ここで「妖精の動機」として先取り活用されているのは魅力だ。このフシ、管弦楽編成を替えると、見事なミステリアスな雰囲気を生むのがいい。

 出演者は、松尾祐美菜(娘アルムガート)、前坂美希(母ヘドヴィヒ)、上原正敏(娘の恋人フランツ)、米谷毅彦(敵将コンラート)、佐藤泰弘(狩人ゴットフリート)ほか。この男声3人は堂々たる歌唱の出来だった。
 指揮は飯坂純、手堅くまとめている。オーケストラは東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団で、ホルン以外は良かった。

 演出は、全て客席を向いて歌わせるという旧弊な手法で、演技にも論理的な描写が全く感じられない。いまどきこんな演出をしていては、目の肥えたオペラファンにはソッポを向かれてしまうだろう。物語が冗長過ぎると感じられたのは、この面白味のない演出もその理由の一つであった。

 なお今回は、各幕ごとに、客席内に「香り」を漂わせるという趣向が行なわれていた。私は嗅覚には今なお極度に敏感のほうだが、ただこれは、言われてみなければそれと判らず、初めのうちは隣の女性の香水の香りかと錯覚したくらいで、━━しかし、なかなか好い香りだった。何の香りかまでは、知らない。

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