2017-10

2017・5・23(火)METライブビューイング「エフゲニー・オネーギン」

     東劇  2時

 4月22日に上演されたライヴ映像、デボラ・ワーナー演出によるチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」。

 2013年秋のプレミエ・シーズンに現地METでナマで観た時(ゲルギエフが指揮するので飛んで行ったのだが)には、演出が徹底していなかったようで、何ともつまらない舞台だった(2013年10月9日、11月2日の項)。だが、さすがに今回は練り上げたらしく、隙のない、雰囲気も豊かな舞台に作ってある。

 タチヤーナは、4年前の舞台と同じアンナ・ネトレプコ。見事な出来だ。顔の表情などの微細な演技力はさすがのもの。
 特に第3幕、グレーミン公爵夫人として上流社会の花形になったタチヤーナの、夜会の席上で動揺を押し隠してオネーギンと相対する場面での突っ張った「傲慢そうな」態度といい、そのあとで彼と2人だけで対決した時の困惑と苦悩の表情といい、精妙な演技の対比が素晴らしく、オペラ女優としての貫録は充分である。もちろん歌唱も、聴かせどころの「手紙の場」をはじめ、魅力的だ。

 オネーギン役は、当初予定されていたフヴォロストフスキーが病のため降板したため、ペーター・マッテイが登場した。この人のオネーギンは、ザルツブルクでも見たことがある(2007年8月19日)が、ちょっと凄味のある悪役ヅラで体も大きいから、ニヒルなインテリ青年というより、見るからに強そうなオネーギン、という感である。

 その他、レンスキー役のアレクセイ・ドルゴフが好演。オリガはエレーナ・マクシモワだが、この役はどうやっても目立たぬ損な役回りである。
 脇役として、母親役にエレーナ・ザレンバ、乳母役にラリッサ・ジャジコーワというベテランが出ていたのには驚いた。ザレンバもついにこのオペラのお母さん役をやるようになったか。しかし相変わらず気品があって美しい。なおグレーミン公爵はステファン・コツァンとなっていたが、とても彼とは信じられぬような迫力のない声。

 今回は、ロビン・ティチアーティが指揮をとっていた。予想通りすっきりした表情の音楽づくりだが、チャイコフスキーの白夜的な叙情の美しさは、よく表れていただろう。

 上映時間3時間41分。幕間の「リンカーンセンター移転50周年記念ドキュメンタリー」で、MET名物のユニークな形をしたシャンデリアが生まれた裏のエピソードが紹介されていたが、これは面白かった。
 昼間の上映だと、さすがに女性客が多い。

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