2017-07

2017・5・17(水)ナタリー・シュトゥッツマンのシューベルト

    トッパンホール  7時

 ナタリー・シュトゥッツマンが、シューベルトの歌曲を歌う。今回のシリーズは、19日の「水車屋の美しい娘」(トッパンホールは、そういう標記を使用している)との2篇だ。
 今日は「第1夜 室内楽伴奏とともに」と題され、ピアノのインゲル・ゼーデルグレンの他に、ヴァイオリンの四方恭子と瀧村依里、ヴィオラの鈴木学、チェロの大友肇が協演者として名を連ねる。

 プログラムには、「シルヴィアに」「あこがれ」「セレナード」「ガニュメデス」「漁師の娘」「音楽に寄す」「愛の使い」「さすらい人」「死と乙女」「ミューズの子」(各作品番号省略)など、シューベルトの珠玉の歌曲18曲が含まれ、その間に「ピアノ三重奏曲第1番」の第3楽章と、「弦楽四重奏曲《ロザムンデ》」の第2楽章も演奏された。アンコールには「ます」と「野ばら」も、という具合だった。

 今回は、それらの歌曲に、イングヴァル・カルコフという人による「室内楽伴奏編曲」が使われるというのが話題だった。
 ただし、歌曲の全部が室内楽伴奏で歌われたわけではなく、原曲通りにピアノとの協演版で歌われたものもいくつかあった。室内楽編成版の中にも、ピアノと弦楽四重奏、あるいは弦楽四重奏のみとの協演で歌われたものもあった。

 とにかく、面白い試みであったことは事実である。ただしかし、━━シュトゥッツマンの柔らかい、やや翳りを帯びたコントラルトの声は、弦楽器の音が入ると、その音色にマスクされてしまい、19列上手側で聴いていた私には、少々聴き取りにくかったのは事実である。これは、かりにソプラノやバリトンが歌った場合でも、多分同じような結果を招いたのではないか? やはりシューベルトは、ピアノと一緒に響かせるように歌曲を作曲しているのであって、弦楽器と一緒に歌うようには作曲していないのである。

 それに、これらの編曲は、どうもあまり優れているとも思えなかった。今回の編曲で、ある程度個性的な響きを生み出していたのは、「さすらい人 D489」くらいなものではなかろうか? そこでは弦の音色が不気味に、ロマン派的な色彩を出していた。

 というわけで、非常に興味深いプログラムであり、この意欲的な企画自体には称賛を贈りたいものの、私は、シューベルトの歌曲は、やはりピアノとの協演のほうが好きだ。シューベルトの「声とピアノによる歌曲」は、やはりそれ自体が既に完璧なバランスを備えた、非の打ちどころない完成品なのである。

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