2017-11

2017・4・28(金)沼尻竜典指揮日本センチュリー響「カルミナ・ブラーナ」

       滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール  7時

 快晴温暖な春の日の夕方、琵琶湖畔のなんと美しく快いこと。6時過ぎ、太陽が西の山に消えて行ったばかりで、長い、明るい、華やかな夕焼けが拡がっている。このままずっと、穏やかな琵琶湖を眺めながら時を過ごしたい気もしたが、仕事となればそうも行かず。

 今年の「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2017」は、4月29日と30日の開催で、びわ湖ホールの3つのホールとメインロビーを使って、東京のそれと同じように多彩な内容の演奏会が行われる。
 この音楽祭では、本拠地のナントはもちろん、世界各国どの会場にも一つ一つ特別な名前を付すのが特徴だが、今回も、たとえば大ホールは「ニジンスキー」、ロビーは「ベジャール」という具合だ。

 そして、ここならではのユニークな企画は、びわ湖周遊の遊覧船「ミシガン」船上で、80分あるいは60分コースのクルーズとして、金管アンサンブルや「3/4大テノール」のコンサートが行われる、という趣向だろう。ちなみにこの「3/4大テノール」とは、本来は4人からなる「びわ湖ホール・4大テノール」のうち、1人が海外留学中で留守なので、「4分の3」なのだとか。

 今日の演奏会は、その「ラ・フォル・ジュルネ」の「前夜祭」としての開催である。
 びわ湖ホール芸術監督・沼尻竜典が日本センチュリー交響楽団を指揮しての出演。彼はちょうど紫綬褒章を受けたばかりだ。いいお祝いの演奏会になったわけだが、ただし開演前のステージでホール館長がその件につき紹介し、祝いの言葉を述べたほかには、特に何もセレモニーは行われなかった。

 プログラムは、J・シュトラウスの「春の声」と、ここでもまたオルフの「カルミナ・ブラーナ」である。
 前者では石橋栄美が協演し、後者では石橋栄美、藤木大地、大沼徹、びわ湖ホール声楽アンサンブル、ラ・フォル・ジュルネびわ湖「カルミナ・ブラーナ」合唱団、および大津児童合唱団が協演した。コンサートマスターは松浦奈々。

 藤木大地は、先日の大阪フィル定期での「カルミナ・ブラーナ」に続いての登場。今日も見事なファルセットと、歌詞に応じた切なそうな演技を入れての快演である。だが今日は字幕が無く、しかもこの「バーベキューにされている哀れな白鳥の嘆き」という内容についてはプログラムの解説でも全く触れられていないので、初めてこの曲を聞きに来た人たちには、彼の情けなさそうな歌い方と身振りの意味が理解できなかったのでは、と気になる。

 大沼徹も、歌唱の上での演技力も堂に入ったもので、シリアスな内容の個所から酩酊の表現の個所までを実に巧く歌ってくれて、こちらでは聴衆の笑い声も起きた。といっても、大阪での与那城敬のような、隣で意気消沈している「白鳥」のテノールを「大丈夫か?」と覗き込むほどの大芝居はしていない。
 石橋栄美はもちろん「おとなの風格」にあふれた好演だが、このソプラノの歌詞は、演技に移すと少し危ない内容だから、先日の森麻季と同様、落ち着いた挙止で華麗に歌っていたのは言わずもがな。

 メインの大合唱団は、核となるびわ湖ホールの声楽アンサンブルを除く大多数は臨時編成のようだが、健闘して熱演を聞かせていた。ただ、急速テンポの個所を歌う男声合唱は、どうしても苦しいようである。
 日本センチュリー響の演奏については、そもそもこの曲の場合にはオーケストラの聴かせどころはほとんどないといっていいので、実力のほどを窺うというところまでは行かない。

 沼尻竜典の指揮する「カルミナ・ブラーナ」は、先日の大植英次のピリピリした感のあるそれとは違い、テンポの切り替えもなだらかで、従って演奏の流れに解放感もあって、気分的にも安心して聴ける。第2部後半での押しに押すテンポは、オペラのように劇的な盛り上がりをつくり出し、迫力を感じさせていた。また、全曲最後の「だめ押し」の盛り上げもすこぶる強靱な構築になっていて、最近の沼尻の巧みな音楽上の演出を感じさせてくれた。

 このびわ湖ホールで、オペラでなく「演奏会」を聴いたのはたしかこれで2回目だが、オペラ上演の時と同じように音響がいいのには感心する。
 終演は8時20分頃。「ラ・フォル・ジュルネ」だから、プログラムは短い。
 大津駅直結のホテル「テトラ大津」に一泊。

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