2017-06

2017・4・22(土)沼尻竜典指揮東京交響楽団
グバイドゥーリナ「アッシジの聖フランチェスコによる《太陽の讃歌》」日本初演

      ミューザ川崎シンフォニーホール  6時

 紀尾井ホールからJR四谷駅、東京駅を経て川崎駅へ。予想していたよりも短時間で着いてしまい、簡単に食事をする時間が出来たのは有難い。

 コンサートはサントリーホールの工事中休業による振替定期。沼尻竜典の客演指揮で、グバイドゥーリナのチェロと室内合唱団と打楽器のための「アッシジの聖フランチェスコによる《太陽の讃歌》」日本初演と、ホルストの組曲「惑星」である。協演は東響コーラス、前者でのチェロのソロは堤剛。コンサートマスターは水谷晃。

 「太陽」と「惑星」━━とは洒落た語呂合わせの選曲だが、マエストロ沼尻の話によれば、両者の曲想や主旨などに一部共通するエネルギー性、宇宙への連想、宗教性もしくは占星術的な意味合いなどからこのプログラムを構成した、とのことであった。

 「太陽の讃歌」は、1997年にロストロポーヴィチの古希を祝って作曲されたものとのこと。ステージには、4人の奏者による打楽器群と、奥に混声合唱(24声!)、前面にチェロ奏者が位置する。
 このチェロが奏する音は複雑精緻を極め、4弦で第11倍音にまで達する倍音列に重要な意味を持たせた奏法を含む。第4部の「死への讃歌」では、第11倍音目の平均律音と変位音が応答するというアイディアなど、「11」がキリスト教の12使徒からユダを除いた数であることに結びつくというのも興味深い。プログラムには中田朱美さんの解りやすい解説がついているので、参考になった。

 しかもチェロ奏者は時に立ち上がって、打楽器をも演奏するという行動も取るが、それらの身振りはすべて楽譜に指定されているというのも面白い。
 この演奏と行動を、堤さんがいつに変わらず、鬼気迫るほどに没入して進めて行くのにも心を打たれた━━言っては何だが、堤さんだってもう高齢のはずだし、さまざまな公職でも多忙を極めている人だ。にもかかわらず活発に演奏活動を続け、しかもこのような現代音楽の初演に全力で取り組んでいる姿には、本当に頭が下がる思いがする。

 「惑星」では、沼尻竜典の指揮に、以前の彼とは大きく違う表情の濃さと熱っぽさと、一種の物凄い力感があふれているのに強い印象を与えられた。びわ湖ホールでのオペラ指揮や、リューベックの音楽総監督としてのキャリアなどが、明らかに彼の音楽をいっそう成長させているだろう。そう感じられるのは嬉しいことである。

 「海王星」の女声合唱は上手側の舞台裏で歌われたが、オーケストラとのバランスも美しい。最後を遠くフェイドアウトさせて終らせるのもよかった━━最後の音が和声的にアンバランスになっていたのだけは惜しかったが。
 この女声コーラスは、カーテンコールの際に舞台に呼び戻されたが、上手ドアから、あとからあとから絶えることなく出て来るその数の、何と多いこと。こんなに大勢で歌っていたのかと呆気にとられるほどの人数。
   モーストリー・クラシック7月号 公演Reviews

コメント

東響定期

東響コーラス30周年記念公演ということで、前半後半とも合唱入りの演目、特に前半には日本初演の「チェロ、室内合唱団と打楽器のための」を選んだのかと思いました。個人的にはグバイドゥーリナの後にホルストってどうか?前半にオケがないので、後半に大勢出すということ?なんて考えていましたが-なかなか良かったです。欲を言わせていただくと、『太陽の讃歌』の方は24名の少数精鋭の精度の高い合唱で聴いてみたいと思っています(東響コーラスは48名出演)。ロストロポーヴィッチに献呈されたとのことですが、舞台を見て、実に堤氏のような重鎮チェリストでないと務まらない作品だな、とつくづく感じました。

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