2017-11

2017・4・22(土)ライナー・ホーネック指揮紀尾井ホール室内管弦楽団

       紀尾井ホール  2時

 「紀尾井シンフォニエッタ東京」が「紀尾井ホール室内管弦楽団」と改称、首席指揮者にライナー・ホーネックを迎えたその最初の定期公演(2日目)。
 プログラムは、ストラヴィンスキーの「バーゼル協奏曲」に始まり、バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」に続き、ハイドンの「十字架上のイエス・キリストの最後の七つの言葉」(管弦楽版)で結ばれる、というものだった。

 「リニューアル・オープニング」の披露公演にしてはおそろしく渋いプログラムだが、賢明な選曲だろう。こんな渋いプログラムは他のどの指揮者も、どのオケもやらないだろうから、演奏を比較して文句が出るようなことはない。そしてこのホールでこのオーケストラが演奏するにあたって、この編成はホールのアコースティックとのバランスの上で、最も好ましい規模のものであるということ。しかも何より、選曲が「上品」である。

 ホーネックとオーケストラは、まずストラヴィンスキーの新古典主義の作品で、ふくらみのある響きと、整然としたアンサンブルを披露した。
 そしてバッハのコンチェルトでは、ホーネック自身もソロを弾いた。オケのコンサートマスター、千々岩英一とのデュオである。しかもアンコールには、ヘルメスベルガーが作った、この曲の第3楽章へのカデンツァ━━ホーネックが語ったように、確かにちょっとロマンティックなところがある━━を演奏して見せるという、洒落た余興も行なった。以上2曲のコンサートマスターは玉井菜採。

 ハイドンの「十字架上のイエス・キリストの最後の七つの言葉」は、長大な作品である。  
 ハイドンは、オラトリオ版の出版に際し、スコアの序文で、司教の説教が一つ終るごとにオーケストラが流れる、という儀式について説明したのち、こう記したそうである━━「それゆえ私は7つのアダージョを次々と聴かせなければならなかった。しかも聴衆を飽きさせることなしにである。この仕事は易しいものとは到底言えなかったので、私はすぐに、これは思ったより多くの時間を必要とするだろうということがわかった」(ラルース世界音楽事典、福武出版社)。
 たしかにこれは、最終の「地震」で曲想が大きく変わるとはいえ、1時間にわたる序奏と7つのソナタは、全てゆっくりしたイン・テンポの曲の連続である。クリスチャンにとっては法悦の世界だろう。だが、そうでない私のような人間は、少々違った意見になる。

 国内楽団の腕利きたちを選りすぐって編成したこの室内管弦楽団、ともあれ今回も、最もバランスのいい響きで大成功を収めたことには間違いない。

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