2017-06

2017・4・2(日)東京・春・音楽祭 マルクス・アイヒェ・リサイタル

      東京文化会館小ホール  3時

 少し寒いが天気のいい日曜日、上野公園の人出はさすがに凄い。JR公園口の改札口は雑踏の極み、出るのにも時間がかかる。ぎりぎりに来なくてよかったと思ったほどである。

 今日のコンサートは、バリトンのマルクス・アイヒェの歌曲リサイタル。
 プログラムは、シューベルトの歌曲からは「さすらい人」「月に寄す」など7曲、そしてベートーヴェンの「はるかな恋人に」と、シューマンの「リーダークライスOp.39」。
 アンコールには、ベートーヴェンの「口づけ」、シューベルトの「音楽に寄す」、ワーグナーの「夕星の歌」、コルンゴルトの「ピエロの歌」が歌われた。協演のピアノはクリストフ・ベルナー。

 マルクス・アイヒェは、昨日の「神々の黄昏」(私は4日に聴く)でグンターを歌ったばかりでは? 
 弱音をも効果的に使ってデュナミークを巧みに対比させ、歌詞のニュアンスと発音を重視して緻密に表現するという知的な歌唱を聴かせる人だ。今日のようなドイツ歌曲(オペラからも2曲あったが)の場合には、完璧に近い出来になるだろう。 オペラを中心に歌う人の場合、概してリートはサマにならぬ傾向があるものだが、彼はそうではない。非常に幅広い表現力をもったバリトンのようである。楽しみな人だ。

 「リーダークライス」における叙情美の表現は、今日の白眉であった。ベルナーのピアノもすこぶる深味に富んでいるので、第5曲の「月の夜」での旋律と和声の組み合わせの美しさなど、例えようがない。
 シューベルトの「船乗り(舟人)D536」も━━かつて大歌手フィッシャー=ディースカウが、一つ一つの言葉を叩きつけるように激しく歌い、あらゆる試練に挑戦してやるぞという気概を表現したあの迫力には及ばぬとしても━━なかなか劇的な表情をもった歌唱であった。

 ━━それにしても、こと歌曲の世界では、シューベルトとシューマンの間に挟まれると、さすがのベートーヴェンも顔色なし、か。

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