2017-10

2017・3・26(日)大野和士指揮東京都交響楽団「シェイクスピア讃」

      東京オペラシティ コンサートホール  2時

 これは定期ではなく、「都響スペシャル」。
 シェイクスピアの戯曲に因んだ作品を集めて、チャイコフスキーの交響的幻想曲「テンペスト」、アンブロワーズ・トマのオペラ「ハムレット」から「オフェリアの狂乱の場」(ソプラノ・ソロはアマンダ・ウッドベリー)、プロコフィエフのバレエ曲「ロメオとジュリエット」抜粋。コンサートマスターは四方恭子。

 こういった劇的な作品を指揮すると、大野和士は、実に巧い。
 「テンペスト」など、チャイコフスキーの作品としては、失礼ながらあまり冴えない曲だが、今日の演奏では思いがけぬ濃い陰翳をもった作品として愉しむことができた。
 「ハムレット」は、大野の得意のフランスオペラだし、たとえばエンディングの盛り上げ一つとっても、ドラマの内容に即した音楽の構築ぶりたるや、見事なものである。ウッドベリーも、この10分近い長さをもつシーンを、華麗に、表情豊かに歌ってくれた。彼女をナマで聴くのはこれが多分初めてだが、これだけ歌ってくれれば結構であろう。

 そして「ロメオとジュリエット」は、もう舌を巻くような演奏だった。これだけ音楽が「弾んでいる」演奏は、なかなか聴けないものだ。後半の「タイボルトの死」のあのリズムの強靭さと激烈な追い込み、「ジュリエットの墓の前のロメオ」での暗い不気味な昂揚など、どこを取っても卓越したものである。
 東京都響の演奏も、今日は見事な躍動感に満ちて、聴き応えがあった。最近私が聴いた大野=都響の演奏の中では、この「ロメオ」は、間違いなくトップクラスに置かれるものだろう。

 一つ、いつも感じること。都響の場合、前列グループの弦の楽員は、拍手と指揮者の支持に応えて起立した際、決して客席の方を見ずに立ったままだが、あれはやはり聴衆との交流の雰囲気が感じられず、冷たい感を与える。どうしてもというなら、せめて最後のカーテンコールの時だけでもみんなで聴衆に顔を向け、笑顔の一つも見せたらいかがなものか? 
 昨日の京都市響の演奏会で、楽員たちが笑顔で聴衆の拍手に応える温かい情景を見たあとでは、いっそう味気なく、拍手をしながらも、ちょっと空しい気分になってしまう。
     別稿 モーストリー・クラシック6月号 公演Reviews

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