2017-10

2017・3・20(月)METライブビューイング 「ルサルカ」

      東劇  6時30分

 上野から東銀座まで、ちょうどいい移動距離と移動時間である。

 メトロポリタン・オペラの、去る2月25日の上演ライヴ。メアリー・ジマーマンによる新演出。
 このドヴォルジャークの「ルサルカ」は、つい3年前までオットー・シェンク演出によるメルヘン的なプロダクションが上演されていた(「ライブビューイング」でもルネ・フレミング主演で紹介されたことがある)。それからすぐにまたこの新演出が登場したところを見ると、METでは、このオペラは結構人気があるらしい。

 メアリー・ジマーマンの演出は、ダニエル・オストリングの比較的トラディショナルな舞台美術の中で、極めて精緻な演技を繰り広げるバランスの良い舞台だ。
 9年ほど前にザルツブルクで、ヴィーラー&モラビトが、ルサルカの本拠たる森を「娼婦の館」に読み替えた傑作なプロダクションを上演したことがあり、あれはあれで非常に面白かったが、今回のジマーマン演出はト書きに準拠しつつもルサルカの心理の変化を微細巧妙に描き出すという手法が採られており、これもまた面白い。

 何しろ題名役クリスティーヌ・オポライスの「眼」の演技が巧く、時には憑かれたような凄い目つきを見せて、真剣な恋におちた女性の業とでもいうべき不気味な(?)表現を繰り広げるのが最大の見ものである。
 共演主役陣は、王子をブランドン・ジョヴァノヴィッチ、水の精をエリック・オーウェンズ、イェジババをジェイミー・バートン、外国の王女をカタリーナ・ダライマンという顔ぶれ。この中では、何といっても、魔法使イェジババを歌い演じているバートンが大芝居で秀逸である。

 指揮はマーク・エルダー。予想外に、と言っては失礼だが、ドヴォルジャークの音楽を実に温かく再現しているのに感心した。第2幕での「森番と皿洗いの少年の場面」における音楽を、これほど民族色を感じさせて演奏した指揮者はそう多くないであろう。
 METの管弦楽団が優秀でしっかりしているので、「ルサルカ」というオペラのオーケストラ・パートは、こんなにも表情豊かな民族音楽的な良さを備えているのか、と、改めて魅惑されてしまう。

 休憩時間のドキュメントは、50年前リンカーンセンターにオープンした現在のMETが杮落しに上演したバーバーの「アントニーとクレオパトラ」を取り上げている。舞台装置が故障してエジプトのピラミッドが移動できず、場面がローマに変わったのにまだピラミッドが中央に聳えていた、などという話は、人間味があって面白い。
 その時に主演したレオンティン・プライスが、90歳ながら未だ元気でインタビューに答えているのに感動。はっきり喋って、しかも綺麗な声で軽く歌まで聞かせていたのは御立派である。
 ちなみに、METの現総裁ピーター・ゲルブは、その時、客席案内係をやっていた由。

 休憩2回を含み、上映時間は4時間近く。かなり長い。終映は10時25分頃になった。

コメント

観ました。良かったですね。

初めてこのオペラを観たのは、ウィーンで。ヴァーツラフ・ノイマン指揮 ガブリエラ・ベニャチコヴァでした。

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