2017-03

2017・2・5(日)ウラジーミル・フェドセーエフ指揮NHK交響楽団

      いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール  3時

 JR常磐線のいわき駅から徒歩15分ほどの距離、いわゆる「いわきアリオス」のホールを初めて訪問。

 この会館は、大ホール(客席数1705)、中劇場(687~517席)、小劇場(233席)、音楽小ホール(200席)を擁する大規模な施設だ。クラシック音楽から演劇まで、多種多様な催事が行なわれている。
 今日コンサートを聴いた大ホールは、ステージの天井が高く、ちょっとオーチャードホールに似た構造で、客席は4階まである。客席の壁がちょっと変わった造りで、彫刻刀で彫り込んだような感じのデザインの板が上下何層にもわたって並んでいるのが眼を引く。私はつい、海産物を並べて干してある漁村の光景を連想してしまったのだが・・・・。

 演奏会は「第6回NHK交響楽団いわき定期演奏会」と題されている。おなじみフェドセーエフの指揮で、ムソルグスキーの「禿山の一夜」(リムスキー=コルサコフ編曲版)、ハチャトゥリヤンの「仮面舞踏会」組曲、チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」及び「1812年」というロシア名曲プロ。
 「1812年」では、東京混声合唱団と、いわき市立高坂小学校合唱部、いわき市立平第三小学校合唱部が協演していた。なかなか賑やかな演奏会である。コンサートマスターは伊藤亮太郎。

 音響は永田音響設計の手によるものだという。1階席ほぼ中央で聴いた範囲では、音の分離が極めてよく、明晰な響きに聞こえる。ステージに奥行きがあるので、金管など距離感があって、平べったい響きにならず、クラシック音楽のオーケストラに適したアコースティックになっているのがいい。ただ、明快過ぎるあまりに、音のふくらみには少々不足し、所謂重厚壮大なオーケストラ・サウンドを味わいたいという向きには、やや物足りないかもしれない。

 休憩後に「ロメオとジュリエット」が始まると、さすがにその前の2作品に比べるとよく出来ているという気がして来る。だがそれは、フェドセーエフとN響の演奏が、この曲から突然引き締まって来た所為もあるかもしれない。特に弦のカンタービレが美しい。フェドセーエフの指揮には、若い頃とはもう大きく違い、テンポやデュナミークにも老巨匠のそれらしい落ち着きがあふれている。

 「1812年」でも、フェドセーエフの「もって行き方」はさすがに巧いなという気がする。演奏によっては騒々しいだけの陳腐な作品というイメージに陥りかねないこの曲を、彼は巧妙な演出により、変化に富んだ表情で聴かせてくれた。
 特に今回は、合唱と、最後にバンダ(ステージ前方の上手側と下手側)を入れたのが効果的だったであろう。合唱としては、東混が冒頭部分と大詰めの個所で歌い、前記の少年少女合唱が、中ほどの民族舞踊のような個所を歌ったほか、大詰めの部分でも参加した。
 男声のみの東混がおそろしく雑然とした合唱だったのに比べ、後者の子どもたちは、この日のために一所懸命練習を重ねたというだけあって、出番は全部で僅か1分足らずだが、見事に澄んだ爽やかな声を聴かせてくれた。さすが、「合唱の福島県」と謂われるだけのことはある。

 アンコールでは、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の旋律が始まったが、それなら当然一緒に歌うのだろうと思っていた合唱は入らず、オーケストラだけの演奏のあの曲で終ってしまったのには拍子抜け。折角合唱団が並んでいたのにもったいない。練習する時間が無かったのだろう。

 お客さんは、初めのうちはややおとなしい感じではあったが、「ロメオとジュリエット」のあとでは演奏の出来に敏感に反応し、急に拍手も大きくなり、上階からはブラヴォーも飛び始めた。なかなか耳が鋭い。━━「1812年」では、地元の子どもたちに人気が集まった感で、登場した時から私の隣の女性は舞台に向かって手を振っているという具合であった。

 品川━いわき間は、特急「ひたち」で(「スーパーひたち」はもう無い)約2時間半強。水戸から先の停まる駅の多さも含め、中央本線の「スーバーあずさ」といい勝負か。ただし車両は「ひたち」の方が遥かに良い。
    モーストリー・クラシック4月号 公演Reviews

コメント

アンコール

実はチャイコフスキーです。組曲第4番「モーツァルティアーナ」の第3曲です。生では初めて聴きました。

おじゃまします。チャイコの「組曲」はどの曲もとてもチャーミングな名品なのに、中々コンサートではお目にかかれませんね(チャイコにしてはタイトルが味気ないせいもあるのか)。 比較的「3番」が演奏頻度が高いですが、中でもフェドセーエフ/東フィル(オペラシティ)の印象派絵画を思わせる色彩的な演奏が忘れられません。

支える世代

お疲れ様です。4日同一プロオーチャードです。フェドセーエフがおとなしくなってしまってびっくりです。私は、騒々しくて、ハチャメチャなほうが好きでした。「技術は高いが」が枕詞みたいなオケは、本日も同じ調子。指揮カヴァーするように積極的に弾いたらどうか。定期会員がステイタスと考えている世代は、間も無く去っていく。

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