2017-08

2017・1・23(月)キット・アームストロング・ピアノ・リサイタル

      浜離宮朝日ホール  7時

 今年24歳という青年キット・アームストロングのリサイタルを聴く。
 ウィリアム・バードの「パーセニア」から「プレリュード」など3曲、同じくバード編の「ネヴェル夫人の曲集」から「ファンシー」、モーツァルトの「幻想曲とフーガ K394」と「ソナタ第17番 K576」、リストの「ソナタ ロ短調」と「エステ荘の噴水」━━と、プログラムからしてユニークだ。

 何とも面白い、興味をそそられる若手ピアニストだ。音色への異様なほどの鋭敏な感性を持ったピアニスト━━と言ったらいいのだろうか。
 昨秋に東京でティーレマンと協演したベートーヴェンの協奏曲と同様、今夜のバードとモーツァルトの作品では、端整な構築の裡に、極度に美しく澄んだ音を響かせた。このホールのベーゼンドルファーのピアノが、実に清澄な、綺麗な音で鳴ったのである。

 ところがこれが、後半のリストでは一変する。音楽の昂揚に応じての激烈なアッチェルランドを駆使、その加速して行くテンポの凄まじさにはぎょっとさせられるが、その奔放なテンポの変化の中で、音の色彩も目まぐるしく変わって行くのが面白い。高音域の煌めきの個所など、あたかもオーケストラのフルートとピッコロが高音で絶叫するかのような音色に聞こえる。
 この千変万化の音色の設定は、まるでオーケストラをイメージして行われているかのようにさえ感じられるのだが、彼が実際にどう考えているのかは、私は知らない。

 リストの作品では、あふれる感興を制御しきれぬといった演奏に感じられるところがなくもなかったが、若いのだからそれもいいだろう。こういう演奏には、かなりの即興的要素も含まれているだろう。他の日には、また違った表現で演奏をやるタイプの演奏家かもしれない。CDとステージとでは演奏スタイルが全く異なるというタイプかもしれない。

 とにかく、大変な「尖った」音楽をやる若者が現われたものだ。24歳でこういう音楽をつくってしまうピアニストは、得てして中年以降には違った方向へ走ってしまう危険性もなくはない・・・・などと取り越し苦労をしてしまうのだが、とにかく、まっすぐに伸びて行って欲しいもの。

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