2017-09

2017・1・17(火)小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団 川崎公演

     ミューザ川崎シンフォニーホール  7時

 水戸で2回の定期公演を行なったあと、川崎に進出しての公演。
 モーツァルトの「協奏交響曲変ホ長調K364(320d)」と、ベートーヴェンの「交響曲第1番」。

 1時間そこそこのプログラムで、しかも総監督・小澤征爾が振るのは交響曲のみである。
 それでも、指揮台上に小澤さんが元気に顔を見せてくれれば、何かしら、ほっとする。この半世紀以上にわたって国内や外国で聴いて来た彼の指揮━━それらの数々の思い出が甦り、たとえ1曲だけでも、今なおこうして聴けるということに嬉しさを感じてしまうのである。これがファン気質(?)というものか。

 交響曲での弦編成は、7・6・5・4・2。コンサートマスターは豊嶋泰嗣が務めた。
 小澤征爾は、昨夏のセイジ・オザワ松本フェスティバルにおけると同様、椅子に腰を下ろして指揮、曲の要所では立ち上がってオーケストラを鼓舞する。楽章の合間には別の椅子に移って30秒~1分程度の休息を摂るが、第4楽章では大半を立ったままで振り続けた。
 ともあれ、彼が指揮台に上った瞬間に、オケの楽員たちの雰囲気が忽ち一変し、気合のこもった異様な熱気のようなものがステージいっぱいに立ち込めるのだから、これがカリスマ性というものであろう。

 その演奏には、かつての小澤が得意とした、弾むように躍動する力感はもう薄れてはいるものの、年齢よりははるかに若々しい勢いがまだあふれている。
 そして、彼自身の指揮の動作こそ昔よりは抑制されて来ているが、その強烈な精神力に触発された楽員たちが自発的に創り出す音楽の燃焼力は、今も不変であるどころか、時には昔よりむしろ旺盛になって来ているのではないか。病から回復したあとの小澤征爾の音楽が一種の凄愴さを帯びるようになっているのも、そのためだろう。

 名手たちが結集したオーケストラは、相変わらず上手い。
 カーテンコールは4回。小澤さんは、楽員たちと一緒に、休みなしに出たり入ったり。これだけ見れば、もう本当に健康回復という気もするのだが・・・・。

 1曲目の「協奏交響曲」では、竹澤恭子(ヴァイオリン)と川本嘉子(ヴィオラ)がソリストとなり、リーダーは渡辺實和子が務めた。
 全身を大きく躍動させ、動き回ってオーケストラに呼びかけ、誘い、共に昂揚して行くかのように弾く竹澤恭子。これに対し、定位置にどっしりと構え、落ち着いた雰囲気で弾きつづける川本嘉子。この2人の対比が面白く、それは同時に、この作品におけるヴァイオリンとヴィオラのソロの各々の性格を具現していたようにさえ感じられたのである。

 第2楽章最後のカデンツァの個所では、2人のソリストがじっくりと親密な対話を繰り広げた。こういう演奏は、指揮者がいない時のほうが、自由に出来るかもしれない。いかにも腕利きの楽員同士が愉しみつつ、自発的に演奏しているという感だ。そのためか演奏時間も延び、30分を超す長さとなったが、何しろオケが巧いから、快いひとときとなった。
 ホールは満席の盛況。
      モーストリー・クラシック4月号 公演Reviews

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