2017-04

2016・11・29(火)尾上菊之助の「歌舞伎とシェイクスピアの音楽」

      すみだトリフォニーホール  7時

 「歌舞伎とシェイクスピアの音楽」と題され、プロコフィエフのバレエ曲「ロメオとジュリエット」が演奏されるというので、二つの芸術の面白いコラボが何か試みられるのではないか、と期待していたのだが、何のことはない、第1部は尾上菊之助が演じ舞う歌舞伎のハイライト、第2部は角田鋼亮指揮する新日本フィルが「ロメジュリ」抜粋を演奏して菊之助がちょっとしたナレーションを入れる━━という程度のものにとどまった。期待外れである。

 とはいえ第1部での尾上菊之助の舞台は、歌舞伎には素人の私にとっては面白い。
 河竹黙阿弥の「白浪五人男」からの「浜松屋の場」での「弁天小僧菊之助の台詞」なんかは私でも知っているが━━「知らざあ言って聞かせやしょう」に始まって「弁天小僧菊之助たあ、おれのことだぁ」までを、大見得を交えて演じてもらえば、「これですよね」とニヤリとせざるを得ない。
 大向う(このホールには無いが)から盛んに掛け声も飛んで、なかなかいいものであった。今日の客席はさすがに、歌舞伎ファンのほうが多いと見える。

 第1部はこのあと、「京鹿子娘道成寺」からの「鞠歌」と「恋の手習」が、三味線や唄とともに、菊之助により舞われた。なおこのパートでは、長谷部浩(演劇評論家)の解説が入ったが、些か教養講座的な雰囲気にもなった。

 期待外れたぁ、第2部のことだ。プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からの何曲かが演奏され、その間に尾上菊之助が、坪内逍遙の訳による台詞を中心としたナレーションを入れたのだが、それは最初に1回、中に4回のみ。結局、主体はオーケストラの演奏で、それに菊之助が少し朗読を添えたという程度なのである。

 「歌舞伎と・・・・」と銘打つなら、たとえば、菊之助がプロコフィエフの音楽に合わせて演技をするなり舞うなり、舞台としての合体ができなかったのか? それに、どうせ彼が喋るなら、坪内逍遙の訳を朗読するより、彼のテリトリーである歌舞伎調の台詞ででもやってもらった方が面白かったのではないか。
 どうも今回は、歌舞伎側がクラシック音楽側に遠慮したような気がする。こういう場合、クラシック音楽を尊重するあまり、「ここはやはりちゃんと音楽を聴かせましょう」ということになると、たいてい「普通の演奏会」になってしまい、特別企画としては流れが悪くなり、結局中途半端なものに終ってしまうものなのである。

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