2017-05

2016・11・26(土)マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団

      ミューザ川崎シンフォニーホール  6時

 結局今週は、米・東独・仏・墺・南独の大小のオーケストラを連続して聴き比べるという僥倖に恵まれたわけで━━。
 さてこのおなじみのコンビの、今回の日本公演は全5回。今日は3日目である。ハイドンの「交響曲第100番《軍隊》」と、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」というプログラム。

 ゆったりと開始されたハイドンの交響曲での、完璧な均衡を備えた、落ち着きのあるふくよかなオーケストラの響きを何に喩えよう。スケールの大きな、しかも密度の濃い演奏だ。マリスらしく誠実で丁寧な指揮が快い。
 第2楽章でのトランペットのファンファーレは、ステージ上の奏者でなく、下手の袖の内側でバンダが吹くという方法が採られた。

 またこの第2楽章で打物陣を務めた奏者たちが、この楽章が終ると皆退場してしまったので、第4楽章の打楽器パートはまたバンダ扱いかと思っていたら、何と下手側客席のドアから、巨大なシェレンバウム(トルコ軍楽隊が使う「鳴り響く房」の大杖クレスントをドイツ風に改造した飾りもの)を振りかざした奏者を先頭に、3人の奏者がそれぞれ大太鼓とシンバルとトライアングルを叩きながら行進して来て、客席最前方を練り歩く、という愉しい趣向が披露されたのである。

 休憩後の「アルプス交響曲」は、はからずも今週はティーレマン=シュターツカペレ・ドレスデンとの競合となった。
 私にとってはこの曲、部分的に好きな主題はあるが、全体としてはそう熱狂的に聞き惚れるほどの作品ではない。ただ、そのスペクタクルな音楽ゆえに、そして作品の甚だまとまりの無い構造ゆえに、指揮者とオーケストラの力量を窺うにはちょうどいい作品ではある。

 そこで今回の2人の名指揮者、ドイツの名門オケ2団体の競演だが━━各々素晴らしい特徴があったが、こちらヤンソンスとバイエルン放送響は、緻密で隙の無い響きの魅力があるだろう。マリスはここでも、堅固に、生真面目に陰翳の濃い音楽を組み立てるが、しかし音楽はのびやかで自然体のスケール感を誇る。
 もう一つ、シュターツカペレ・ドレスデンもそうだったが、いかに大音響で咆哮しようと、音に少しの濁りも生じないところが素晴らしい。

 そして、あれほど「嵐」に荒れ狂った管弦楽が次第に落ち着きを取り戻し、「日没」から「夜」にかけて重々しく沈んで行く個所を通じての色合いの変化と、全管弦楽の均整の取れた響きの美しさは、さすが世界屈指のオーケストラに相応しい演奏、と言えるものだった。マリス・ヤンソンスも、かく見事な制御を示す。いよいよ円熟の名人芸の域に到達しているようである。
   音楽の友新年号 Concert Reviews

コメント

兵庫で拝聴しました!

兵庫県立芸術文化センターでは、マーラーの第9交響曲でした。チケットを取るのが遅れて一階のサイドでしたが、迫力は十分に伝わってきました。このオーケストラとこの指揮者ならではの円熟味のある演奏だったと感じます。この組み合わせでマーラーの第9番を拝聴出来た私は幸せ者です。ここでも楽屋口でヤンソンさんを待っている行列でしたが、ヤンソンさんがお疲れで一時間程休まれるとの事でした。お大事になさってください!そして、感動を有難うございました!

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