2017-11

2016・11・23(水)ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン

     サントリーホール  5時

 昨日に続く「オーケストラ・プログラム」の第2日。ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番《皇帝》」(ソロはキット・アームストロング)、チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」、リストの交響詩「レ・プレリュード」という、ちょっとヘンなプログラムだ。

 しかし、さすがはクリスティアン・ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデン、演奏はずば抜けている。
 ドイツのオーケストラが生真面目に、几帳面に演奏する「ロメオとジュリエット」も、なかなかいいものだ。ティーレマンの指揮も、曲が後半に入ると次第に濃厚さを増して行く。ティンパニの連打のあとに長い「間」を採ってからおもむろに開始したモデラート・アッサイの終結部では、ティンパニのリズムとコントラバスのピッツィカートをずしりと響かせ、物々しい悲劇性を強調して行った。

 リストの「前奏曲=レ・プレリュード」は、ナマで聴ける機会は滅多にない。いつだったか、ある演奏会で久しぶりに曲を聴いて、何故こんな曲に昔はあれほど夢中になったのだろうと首をひねったほどだが、今日のような演奏でこの曲を聴くと、やっぱり悪くない曲だ、と思えてしまうのだから、ティーレマンの指揮も大したものである。
 「田園の静けさ」での甘美なロマンティシズム、終曲のエンディングでのこれまた物々しい矯めなど、巧みな演出も加えられた、堂々たる演奏だった。

 前半はベートーヴェンだったが、今日は最初に「フィデリオ」序曲が新たに追加され、さらりとした演奏ではあったものの、よい幕開きの役目を果たした。

 「皇帝」では、昨日と同様、若手のキット・アームストロングが熱演を繰り広げたが。壮麗雄大な円熟の曲想にあふれるこの「5番」では、やはり「2番」とは些か勝手が違うと見える。しかし、その音色と表情の初々しさは、昨日に変わらぬ。
 ソロ・アンコールでのバッハの「おお愛する魂よ、汝を飾れ BWV654」も━━オケの前でのアンコールとしてはちょっと長かったが━━爽やかだった。

 それにしても、「皇帝」でのティーレマンの煽りの見事なこと。第3楽章中ほどの盛り上げと追い込みなど、息をつかせぬほどだ。若手アームストロングの躍動も、結局はティーレマンの傘の下で行われたのである。
 オーケストラのアンコールは、ワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲。壮大な小絵巻。

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