2017-11

2016・11・22(火)ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン

       サントリーホール  7時

 「ザルツブルク・イースター音楽祭in JAPAN」の続き。クリスティアン・ティーレマン指揮するシュターツカペレ・ドレスデンによる「オーケストラ・プログラム」の第1回。
 ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第2番」と、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」がプログラムに組まれた。

 「ピアノ協奏曲第2番」のソリストを務めたのは、キット・アームストロング。健康上の理由とかで来日が中止となったイェフィム・ブロンフマンの代役として、ティーレマン自身が抜擢したのだという。
 まだ24歳という若さだが、初々しいフレッシュな息吹を感じさせる有望株とお見受けした。やや細身で澄んだ音色を躍動させ、ぴんと張りつめた表情も随所に聞かせ、この作品の瑞々しさを充分に再現していたといえよう。
 音色や個性からいえば、シュターツカペレ・ドレスデンの重厚な音楽とは必ずしもマッチしないかもしれないが、この老舗のオケを相手に、爽やかに挑んだ若者の気魄は清々しい。ソロ・アンコールで弾いたバッハの「パルティータ第1番」の「メヌエット」も、若々しくて良い.。

 一方、ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンの演奏も、陰翳と多彩さが交錯する流石の快演で、特に第2楽章など、これほどオーケストラが変化に富んだ表情を聴かせた演奏は、滅多に聴けないものではなかったろうか。このコンチェルトがこれだけシンフォニックに━━ピアノ付きのシンフォニーのごときイメージで再現されたのも興味深く、ティーレマンのしたたかさを窺わせるものだったと言えるかもしれない。

 休憩後の「アルプス交響曲」は、これはもう、彼らの独壇場である。この曲を初演したのが他ならぬこのシュターツカペレ・ドレスデンだったということも、理屈では説明できない縁となってオケの音色に浸みついているのだろう。下手なオケが演奏すると何処かスカスカな音になることも多いこの描写音楽が、これほど緻密で厚みのある見事なポリフォニーとなって再現された例を、私はそう多くは知らない。

 ティーレマンは、予想外にストレートに、標題性をこれ見よがしに誇張せず、デュナミークの変化に重点をおく程度の劇的な強調を以って、シンフォニックにこの曲を構築して行った。
 だがそれでも、頂上での歓喜の場面、嵐の兆候が起こる個所、嵐のクライマックスなどで彼がオーケストラから引き出したドラマティックな昂揚は、凄まじいものがある。そして、日没の場面から夜にかけての終結個所で、オーケストラがその音色を明るさから次第に暗いものに変化させて行く移行の見事さも、卓越したものだった。

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